2013 Fiscal Year Annual Research Report
無機ホストとの複合化による天然色素の安定化と安全な色材への応用
Project/Area Number |
24700787
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河野 芳海 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50334959)
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Keywords | 天然色素 / 無機層状化合物 / メソポーラスシリカ / 複合体 / 安定化 |
Research Abstract |
実施計画に従い,本年度はアントシアニン系および疎水性天然色素について,無機メソ細孔体あるいは無機層状化合物との複合化による安定性向上の検討を行った。 アントシアニン系では,種々の金属イオンを添加したメソポーラスシリカと複合化した際の安定性向上効果について検討した結果,3価の鉄イオンを含むものと複合化した場合に,特異的に高い安定化効果が得られることを見出した。その原因は,鉄イオンがアントシアニン分子に対し凝集を促す効果を持つためであることを明らかとした。 疎水性天然色素については,層状化合物層間を界面活性剤分子で有機修飾した上で色素溶液と混合することにより,色素分子を層間に取り込むことが可能となることを前年度に見出している。本年度はさらに,色素分子と無機ホスト双方を固体粉末状態のまま物理混合する方法でも,層間に色素分子を取り込んだ複合体を形成可能であることを明らかとした。溶液を用いず乾燥工程を必要としない,より簡便な調製法で複合化し天然色素を安定化出来ることは,実用上は重要な点といえる。 また,疎水性天然色素のうちβカロテンについて,鉄やアルミニウム等の3価の金属を含むメソポーラスシリカと複合化すると色変化を示すとともに安定性が向上することが分かった。シリカ骨格内に含まれる3価金属により生成する固体酸性点が,βカロテンのパイ電子系を強く引きつけて吸着固定化する効果によるものと考えている。 以上のように,メソ細孔体や層状化合物など種々の無機ホストに対し,有機修飾などの適切な処理を施すことで,多くの天然色素を複合化し,その安定性の向上を実現できることを示した。また,複合体は固体粉末同士の物理混合という簡便な方法でも調製可能な場合があることを明らかとした。
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