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2013 Fiscal Year Research-status Report

幼児の手指の巧緻性の向上を促す衣服の開発

Research Project

Project/Area Number 24700792
Research InstitutionMejiro University

Principal Investigator

高橋 美登梨  目白大学, 社会学部, 助教 (10507750)

Keywords衣生活 / 着脱動作 / 手指の巧緻性
Research Abstract

(1)幼児を取り巻く衣生活の実態に関する質問紙調査:平成25年5月に東京都23区内の幼稚園・保育所の教諭・保育士を対象に①衣生活の自立への取り組み(着替えの場面、園生活で着用している衣服、着替えに対する援助の状況)、②幼児の衣生活の自立に対する考え(衣生活の自立の教育的効果、園で援助する基本的な生活習慣、手指の巧緻性への関心)について質問した。その結果、着替えの機会や着用する衣服は園によって大きく異なり、幼児期における着脱経験の個人差は大きいといえる。保育者は着脱動作を習得する効果を「自信がつく」こと、次いで「着替えを伴う活動がスムーズ」であることと捉えていた。着脱動作を含む生活習慣の習得のためには園での援助も必要であると多くの保育者が考えていた。手指の巧緻性に関しては、半数以上が低下していると感じていた。なお、この調査は平成26年1月~3月に規模を拡大して実施し、現在集計中である。
(2)子ども服の形態の調査:子ども服の雑誌を用いて、1983年と2013年の衣服の生地を比較したところ、インナーが織物からニット製品へと変化していることが明らかになった。ニット製品は伸縮性が高いため、衣服の前後が理解できれば着替えは短時間で行うことができる。着脱動作の自立時期が早くなっているという報告があるのは、ニット製品の普及に伴いかぶり型の衣服が増加する等衣服の形態が変化し、動作が容易になったためと推察される。
(3)着脱動作と手指の巧緻性の関連性:幼稚園児(年中クラス)を対象に留め具に1.14cmのボタンを用いた半袖ブラウス・ハーフパンツ・留め具がファスナーのベストを用いて着衣実験を行った。手指の巧緻性はビーズ通しによって測定した。動作の所要時間を分析した結果、手指の巧緻性が高い園児の方がボタンかけはずしの所要時間が短いことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

質問紙調査を実施するにあたり、業者や行政との調整に時間を要したことが最も大きな理由である。区立の幼稚園・保育所・こども園へ送付する際は、まず区役所の担当部署に研究の趣旨と質問紙調査への協力依頼を文書にて行い、許可が出た施設に質問紙を送付するという手続きをとった。平成26年3月までに535園から回答を得られた(回収率41.2%)ので、今後、早急に集計を行うこととする。
着脱動作と手指の巧緻性の関連性については、幼稚園の年中児を対象に行った実験より、手指の巧緻性が高い園児の方がボタンかけはずしの所要時間が短いことが示唆され、留め具の中でもボタンの操作と手指の巧緻性には何らかの関連があるとという基礎データは得られた。しかしながら、幼児の手指の巧緻性の測定方法や動作実験の方法については検討の余地があると考えている。特に着脱動作に関しては、観察者の声かけ等による影響を受けやすいため、幼児が集中して行える時間等を考慮した実験の内容を検討する必要がある。平成25年度は、フィールドに出る時間が充分に確保できなかったため、予備実験までに留まった。

Strategy for Future Research Activity

(1)質問紙調査の集計:幼児を取り巻く衣生活の実態の基礎資料とする。
(2)動作実験の実施:10月の本実験に向けて次のことを検討する。①着用実験:実験の手順(幼児への負担の少ない段取りや観察者の支援を受ける程度)、実験条件(1人あたりの拘束時間、実験衣の形態等)等を検討する。②手指の巧緻性の測定:予備実験より、紐をビーズに通す時間により測定できた。使用するビーズの形態や数、紐の形状の妥当性を検討する。③全身の運動能力の測定:MKS幼児運動能力検査を利用して測定する。測定項目は、幼児への負担を考慮して2項目とする。
当初の計画では、着脱動作と手指の巧緻性の関連性の関連性から衣服の開発を行うことにしていたが、質問紙調査等で全身の運動能力の低下が指摘されたため、着脱動作と全身運動の関連性についても検証することとする。
(3)着脱動作の観察:予備実験により、観察者の関わり方が動作への取り組みに影響を与える場面が見られた。幼児の能力にあった衣服を与え、保育者が適切な援助をすることは、着脱に対して自信と満足感を持たせる有効な手立てになると考える。着脱が容易にできる衣服だけではなく、練習を要する衣服を幼児に提供し、新たな課題として取り組ませることは、内面の成長だけではなく、運動能力の向上にも効果があると期待できる。観察調査により、発達段階に適した衣服の検討と保育者の援助の分析を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

最も大きな理由は平成25年度に動作実験の本実験を行えなかったことである。当初はビデオカメラや実験衣を購入する予定であった。質問紙調査の集計もアルバイト学生にお願いする予定であったが、平成26年度へ持ち越しとなった。
幼児の着脱動作を所要時間等の量的分析を中心に行う予定であったが、予備実験の結果、保育者の関わり方や幼児の満足度等の質的な分析も行い、総合的に着脱動作を捉える必要があることが分かった。そこで、オムロンから発売されているスマイルスキャン等を用いて分析をすることを計画している。平成26年度に繰り越した費用については実験機器の購入と欧州の幼児施設への視察に使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 幼児の衣生活における着脱と自立支援2013

    • Author(s)
      時田英理子、高橋美登梨、川端博子
    • Organizer
      日本衣服学会
    • Place of Presentation
      信州大学教育学部
    • Year and Date
      20131109-20131110
  • [Book] 社会をデザインする2013

    • Author(s)
      高橋美登梨ほか13名
    • Total Pages
      200
    • Publisher
      三弥井書店

URL: 

Published: 2015-05-28  

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