2014 Fiscal Year Annual Research Report
大震災被災地の住環境汚染真菌の危害性評価と予防衛生学的研究
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24700795
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
渡辺 麻衣子 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 室長 (00432013)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 住環境汚染真菌 / 大震災 / 感染症 / アレルギー / マイコトキシン中毒症 |
Outline of Annual Research Achievements |
H25年度までに、宮城県石巻市内の津波による浸水被害を受けた一般家屋延べ23件からエアサンプラーを用いた空気浮遊真菌のサンプリングを行い、検出真菌の定量および同定を行ったところ、室内では真菌汚染が進行している傾向にあることが示され、アレルギー性やマイコトキシン産生性、感染性が報告されるAspergillus属菌が比較的多く検出され、健康危害リスクが上昇している可能性があること明らかにした。H26年度は、石巻市内医療機関の呼吸器内科で治療中の、津波浸水家屋に居住するアレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)患者2名、および真菌が原因の可能性が高い軽症喘息患者1名の自宅において、空気採取および床面拭き取りによる真菌サンプリングを行い、汚染真菌数の測定およびAspergillus属菌を中心に分離株の同定を行った。その結果、3名の患者宅のうち、2軒では浸水した部屋でAspergillus versicolorが、1軒ではAspergillus nigerが高濃度に検出された。 また、分離株同定の結果、検出頻度が高かった真菌種から危害性の高いAspergillus属菌を中心に菌種を選択し、個々の患者に対する特異的アレルゲン性を評価するため、共同研究医師の指導の下、医療機関においてABPM患者への抗原曝露試験を行った。できる限り患者宅由来の菌株を用いての液体培養によって作製したカビアレルゲン粗精製物を抗原として、皮内に少量注射して腫脹性を観察する皮内反応を行った後、陽性となった菌株の精製物を用いてぜんそく症状を誘起する吸入試験を行った。その結果、上記の患者1名でA. versicolor、1名でA. nigerで皮内反応及び吸入試験陽性となり、これらの菌種がそれぞれの患者のABPM原因菌であると特定された。以上の結果をまとめて5月に学会発表を、その後英文誌に論文投稿を行う予定である。1名の喘息患者については、近日中に同様の曝露試験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)