2012 Fiscal Year Research-status Report
化粧品中のホルムアルデヒド遊離型防腐剤による接触皮膚炎発症の原因解明に関する研究
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24700796
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
土井 崇広 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 研究員 (90516767)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 化粧品 / 防腐剤 / 皮膚感作性 / ジアゾリジニル尿素 / イミダゾリジニル尿素 / DMDMヒダントイン |
Research Abstract |
1 DMDMヒダントイン(DMDMH)及びその分解物のHPLCによる定量分析法について検討した。試薬として入手できなかった3-MDMヒダントイン(3-MDMH)について、DMDMHから選択的に分解させる手法を確立した。化粧品試料の塩酸抽出液を遠心分離後フィルターろ過したものをHPLC分析溶液とし、0.1%ギ酸:メタノール=97:3を移動相として用いることで、ODSカラムによるDMDMHとその3種の分解物の同時定量分析を可能とした。3-MDMHの選択的生成が達成されたことで、化粧品中のすべてのDMDMH分解物について、次年度以降に生体影響評価を行う準備ができたものと考えられる。 2 イミダゾリジニル尿素(IU)の化粧品およびパッチテスト試料中での分解挙動について検討した。HPLC-PDA,LC-MS等を用いた分析の結果、IUは化粧品やパッチテスト試料中で少なくとも7種類の分解物として存在しており、化粧品中での主要な構成分解物はジアゾリジニル尿素(DU)の主要な分解物と同じ2種類の化合物であることを見出した。この結果は、DUおよびIU間で生じている交差反応性がいずれかの化合物に起因する可能性を示唆しており、DU/IU配合化粧品により生じる皮膚感作性メカニズムの解明につながるものと期待される。 3 IUおよびDUに共通する2種類の分解物の合成・精製法の検討を行った。2種類のうち1化合物については、アミノシリカを用いた精製法を確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に大きな障害もなく、順調に遂行している。これまでに精製法が確立できていない一方で、皮膚感作性評価系についての検討が進んでいるため、全体としては計画通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに開発できなかった化合物精製法を目指すとともに、精製法を確立した化合物による皮膚感作性評価を行うことを予定している。これまでにマウスを用いたLLNA-BrdU法について、系を確立したため、本法を用いた評価をまず実施する。培養細胞や、合成ペプチドを用いた皮膚感作性評価では、化合物の分解によるホルムアルデヒドの生成が問題となると考えられる。そのため、まずこの問題に対する解決策を検討したのち、被検物質の評価に入る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた化合物の精製法構築が終えていない物質があり、その分が次年度に繰り越されている。繰り越し分で、平成24年度中に終えられなかった研究を実施し、平成25年度分については当該年度に実施予定の研究に充てることを予定している。
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