2012 Fiscal Year Research-status Report
米粉食品の調理加工性と食味の向上をもたらす機能水の解明
Project/Area Number |
24700799
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山口 智子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70324960)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 米粉 / パン / 水 |
Research Abstract |
米粉食品の品質や食味には、水が大きく関与している。本年度はグルテンフリー米粉パンの製造において、パン生地の膨化度、パンの物性および食味に与える機能水の影響ついて、白米米粉を用いた実験を行った。米粉は新潟県産コシヒカリDKタイプ(新潟製粉(株))、増粘剤HPMCはSFE-4000(信越化学工業(株))を使用し、水はアルカリイオン整水器で生成された浄水・酸性水・アルカリ水を用いた。パン生地に対して加水量を70~110%の5段階とし、米粉パン生地の1次発酵における膨化度を15分間隔で120分まで測定した。その際、発酵温度を25, 30,35,40℃の4段階として比較を行った。 いずれの水においても加水量が同じ場合、発酵温度が高いほど膨化度が高いことが分かった。加水量を変化させた場合、25℃および30℃では膨化度の違いはほとんどみられなかったが、35℃および40℃では加水量70%の時に短時間での著しい膨化がみられた。パンの焼成に最も適する加水量90%で比較した場合、いずれの水を用いても25℃では膨化度に差はみられなかった。一方、40℃では浄水を使用した生地において短時間で膨化が進んだが、120分後にはアルカリ水を使用した生地の膨化度とほぼ同じとなり、使用する水により膨化の進み方が異なることが分かった。 3種の水を用いて加水量90%で焼成した米粉パンの官能評価を行ったところ、酸性水で製造した米粉パンでは外相の色は有意に好まれたが、内相のきめ、食感は有意に好まれなかった。また、アルカリ水で製造した米粉パンでは、浄水で製造した米粉パンに比べて内相のきめ、食感、風味、総合評価において好まれなかった。食味の向上と物性に関して、今後、さらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた白米米粉を用いた研究はほぼ遂行できたため。 課題の残った食味向上と物性に関しては、購入した恒温恒湿器を用いて米粉パンの発酵条件を厳密にコントロールすることで、その改良を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
米粉パンの生地の発酵、パンの膨化、物性、機能性および食味に与える機能水の影響ついて、玄米米粉を用いた実験を行う。白米米粉の場合と同様に、加水量、発酵温度、機能水の種類による比較を行った上で、玄米米粉には白米米粉と異なり、GABAなどの機能性成分が含まれるので、パン生地の発酵およびパンの焼成過程における機能性成分の変化についても明らかにしていく方針である。 GABAの定量は、①イーストと水以外の原料を混合した段階、②混合した原料にイーストと水を加えて3分間撹拌した段階、③25℃、50分間の一次発酵を終了した段階、④37℃、湿度90%以上で60分間の二次発酵を終えた段階、⑤焼成したパンの5段階でサンプルを分取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定を行う予定である。また、玄米米粉を用いることで焼成後のパンの色調の変化も予想されるため、内層部の色調を測定することを検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)