2013 Fiscal Year Research-status Report
米粉食品の調理加工性と食味の向上をもたらす機能水の解明
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24700799
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山口 智子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70324960)
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Keywords | 米粉 / 水 |
Research Abstract |
グルテンフリー米粉パンの製造において、パン生地の膨化度と抗酸化性に与える機能水の影響ついて玄米米粉を用いた実験を行った。 玄米米粉は平成23年新潟県産コシヒカリ (新生バイオにて製粉)を、増粘剤HPMCはSFE-4000(信越化学工業(株))を使用し、水はアルカリイオン整水器で生成された浄水・酸性水・アルカリ水を用いた。米粉に対して加水量を90~110%の3段階とし、米粉パン生地の1次発酵における膨化度を15分間隔で120分まで測定した。その際、発酵温度を25と30℃の2段階として比較を行った。 その結果、いずれの水においても加水量が同じ場合、発酵温度が高いほど膨化度が高い傾向がみられた。加水量を変化させた場合では、加水量が多いほど膨化度が高い傾向がみられた。3種の水で比較した場合、加水量90%・30℃での発酵において、アルカリ水での膨化度がやや高かったが、その他の条件ではほとんど変化はみられなかった。 次に、抗酸化性としてH-ORAC値を発酵前後のパン生地について測定を行ったところ、120分発酵後の生地では発酵前に比べて全体的に1.1~1.4倍に増加する傾向がみられた。発酵温度で比較した場合、加水量90%においては発酵温度が高くなると抗酸化性が上がる傾向がみられたが、加水量100%と110%では、いずれの水においても発酵温度が高いほど抗酸化性が有意に低くなった。総合的にみると、加水量90%・発酵温度30℃における抗酸化性が最も高く、さらに、アルカリ水を使用した生地の抗酸化性が最も高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の白米粉に引き続き、玄米粉を用いた米粉パン生地について、機能水の影響の評価を行い、膨化度の変化について、温度や加水量との関連性を解明できた。また、当初、玄米粉に含まれるGABA量の変化を膨化度と併せて測定する予定であったが、抗酸化性としてより広く評価をおこなえるORAC値の測定に変更したところ、発酵後に抗酸化性の増加がみられる興味深い結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は米粉食品として米粉麺を対象に、調理加工過程における機能水の影響についての実験を行う予定である。 具体的には、米粉の配合割合や添加物の異なる数種類の麺を、アルカリイオン整水器で生成された浄水・酸性水・アルカリ水を用いてゆでた場合、麺のゆで加熱過程における吸水と物性、食味の相違について評価を行う。ゆで時間とその後の保存時間における吸水量、物性、食味の経時的変化についても測定する。吸水量は重量測定および105℃常圧乾燥法により水分含量を測定する。物性評価は、単軸圧縮・引張型レオメータ(クリープメーターRE3305, (株)山電製)にて行い、破断応力、破断歪、破断エネルギーおよびもろさを測定する。食味については、コシの強さやもろさ、おいしさに関して官能評価を行うこととする。また、米粉麺の調製に適した水の検討を行う。
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Research Products
(1 results)