2013 Fiscal Year Annual Research Report
毒素型食中毒に対する植物成分の制御機構の解明とその応用
Project/Area Number |
24700806
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
島村 裕子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (60452025)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA) / ポリフェノール |
Research Abstract |
【方法】昨年度、毒素活性阻害能および毒素産生抑制能が認められた食品抽出物より抽出、精製したポリフェノール類28試料を試験に供した。各試料を添加した培地で黄色ブドウ球菌SEA産生株を培養し、産生されたSEAをWestern blotで定量 (一次スクリーニング) した。活性が認められた試料について、SEA分子と試料との結合親和性をWestern blot解析 (二次スクリーニング) およびHPLCを用いて調べた。SEA分子と結合親和性を示した試料は、マウス脾臓細胞を用いて毒素活性阻害能を、SEA分子と結合親和性が認められなかった試料については、SEA遺伝子発現に対する影響をリアルタイムRT-PCR法を用いて調べた。 【結果・考察】Western blot解析およびHPLCにより、ポリフェノール系既存食品添加物4試料、リンゴ由来プロアントシアニジン (AP) の五量体以上の画分、エピカテキンおよび3”-メチル化カテキンを除くカテキン類は、SEAとの結合親和性を示し、いずれも毒素活性を有意に阻害した。また、AP (三量体から五量体の画分) およびカテキン類を含むSEA分子と結合親和性が弱い試料についてSEA遺伝子発現に対する影響を調べたところ、いずれもSEA遺伝子発現の抑制効果を示した。これらの結果より、重合度の高いAPはSEAと直接結合し、低いAPはSEAと結合せずに毒素活性を阻害するという2つの阻害機構があることが示唆された。また、毒素産生抑制能にAPの重合度は関連していないことが推察された。カテキン類においては、ガロイル基の3位の水酸基がSEAとの結合親和性に関与していたが、ガロイル基の3または4位の水酸基をメチル化したカテキンの両者において、毒素産生および活性抑制効果が認められたことから、SEAとの結合がこれら阻害活性に必ずしも関連しているわけではないことが示唆された。
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Research Products
(9 results)