2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソトロンおよびホモフラネオールによる発酵食品オフフレーバーのマスキング効果の解明
Project/Area Number |
24700808
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大畑 素子 北里大学, 獣医学部, 助教 (60453510)
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Keywords | 香気 / マスキング / GC-匂い嗅ぎ |
Research Abstract |
魚醤に代表されるような動物性発酵調味料は、その独特の風味がオフフレーバーとして時に不味さを感じさせることがある。 ソトロンは、植物性発酵食品で広く検出されており、匂いの骨格を成す重要な香気成分である。低閾値で香調もインパクトがあるにもかかわらず、風味改善機能やマスキング効果に関する報告はない。また、魚醤からのソトロン検出の報告はない一方で、我々は近年の予備的実験において他の動物性発酵調味料である肉醤(豚肉、麹、食塩を混合し12か月間発酵熟成)を調製し、高濃度のソトロン検出に加え、ソトロンが肉醤の好ましい香気に寄与する可能性を示した。 そこで本研究では、肉醤からのソトロン検出と嗜好性への関係を再検討し、魚醤のオフフレーバーに対するソトロンのマスキング効果を検証することを目的とした。研究には日本製、タイ製、ベトナム製の3種類の魚醤を用いた。食品のための匂い評価用語を用いて、評点法による官能評価により各魚醤の香気特性を明らかにした。全ての魚醤で「腐敗臭」「生臭い」という評価用語に対するスコアが高く、これらの用語に相当する香気がオフフレーバーとして影響していると考えられた。各魚醤から香気濃縮物を調製後、GC-匂い嗅ぎ分析により香気寄与成分を特定した。しかし、香気寄与成分の中には、好ましい香気を呈する化合物ピークもあり、寄与成分が必ずしも腐敗臭・生臭いという香気特性に影響しないと考えられた。一方で、肉醤を再度調製し、嗜好性決定因子としてソトロンが肉醤の香気に高く貢献することを再現した。なお、本研究により肉醤からのホモフラネオール検出の再現性が得られなかったため、マスキング効果検証には至らなかった。ソトロンの標準化合物を3種の魚醤に添加し、評点法を用いた官能評価を行った。その結果、全ての魚醤においてソトロンの添加により腐敗臭・生臭い香気特性が軽減され、マスキング効果が示唆された。
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