2012 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化物質の作用特性および体内動態特性に基づく痛風予防法の確立
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24700819
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小倉 次郎 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20580640)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 痛風 / BCRP / 抗酸化物質 / 薬力学的特性 / 薬物動態学的特性 |
Research Abstract |
キサンチンオキシダーゼは加齢性酸化ストレスの主な原因であり、キサンチンオキシダーゼ活性化により産生された活性酸素は尿酸排泄トランスポータBCRPのS-S bond形成を抑制する。一方、代表的な活性酸素産生系であるミトコンドリア由来の活性酸素はタンパク質のS-S bond形成に重要であることが知られ、痛風の予防にはミトコンドリア由来の活性酸素は除去せず、キサンチンオキシダーゼ由来の活性酸素を特異的に消去することが重要と考えられる。そこで本研究では、18種の抗酸化物質の抗酸化作用を活性酸素産生系別に評価することとした。評価対象とする活性酸素産生系は代表的なキサンチンオキシダーゼ系、NADPHオキシダーゼ系、ミトコンドリアの3種とした。はじめに、キサンチンオキシダーゼ阻害剤アロプリノール、NADPHオキシダーゼ阻害剤アポシニン、電子伝達系阻害剤ロテノン、CCCP、FCCPを用いて各評価系の特異性を確認した。その結果、各産生系の評価系はそれぞれの特異的阻害剤のみで活性酸素産生量の低下が確認された。そこで、18種の抗酸化物質の各産生系由来活性酸素に対する抗酸化作用を解析した結果、ミトコンドリア由来の活性酸素は除去せず、キサンチンオキシダーゼ由来の活性酸素を特異的に消去する抗酸化物質としてアピゲニン、クロロゲン酸、カフェイン酸など6種が見出され、痛風予防に効果的な抗酸化物質であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画ではcell-free reactionによる評価後に細胞中でのBCRP S-S bond形成促進効果を確認する予定であった。しかしながら、想定より候補化合物が多いこと、いくつかの抗酸化物質で溶解性が問題となり、その効果を確認できていないこと、などのため、研究計画に若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、cell-free reactionでの評価により痛風予防に適した抗酸化物質として見出された抗酸化物質のBCRP S-S bond形成促進効果をin vitroで確認する。さらに、in vitroで効果を示した抗酸化物質および溶解性の問題からin vitroでの評価が不能であった抗酸化物質について、in vivoでBCRP S-S bond形成促進効果ならびに尿酸排泄促進効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として24,142円が生じているが、これは実験試薬の納品に遅れが生じたためである。また、平成25年度は当初の予定通り、主にin vivoでの解析を行うため、実験用動物購入の費用を多めに計上している。さらに、尿酸輸送に対する抗酸化物質の効果を詳細に検討するため、in vitro実験関連費用も合わせて計上している。
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