2013 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム欠乏食短期投与ラット肝臓の栄養素代謝のトランスクリプトーム解析
Project/Area Number |
24700820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石島 智子 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80568270)
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Keywords | マグネシウム欠乏 / 短期投与 / ラット / 肝臓 / 栄養素代謝 / エネルギー代謝 / トランスクリプトーム解析 |
Research Abstract |
本研究では、マグネシウム(Mg)欠乏食投与期間が2週間および1週間(以内)と先行研究の4週間よりも短期のラットの肝臓における発現変動遺伝子の網羅的な解析により、栄養素代謝を中心にどのような変化が引き起こされるのかについて明らかにする。平成25年度は3日間のMg欠乏食投与を行ったラット肝臓の栄養素代謝に対するトランスクリプトーム解析を行った。 3週齢のWistar系オスラットを正常食で7日間予備飼育後、平均体重が等しくなるように2群に分け、正常食およびMg欠乏食を3日間投与した。 Mg欠乏食投与により血清中Mg濃度の有意な低下が観察され、Mg欠乏が引き起こされていることを確認した。血清中トリグリセリド濃度は、2週間投与同様にMg欠乏食投与により有意な上昇を示した。また血清中総コレステロール濃度も2週間投与同様に有意な差はみられなかった。2週間のMg欠乏食投与で有意差のみられた血清中のLDLコレステロール濃度の上昇、HDLコレステロールおよびグルコース濃度の低下は、3日間投与では観察されなかった。 肝臓のDNAマイクロアレイ解析の結果、階層的クラスター解析では、正常食投与群とMg欠乏食投与群で概ね大きくクラスターが分かれ、既に3日間のMg欠乏食投与で肝臓での遺伝子発現様式は大きく変化することが示された。Mg欠乏食投与により発現が有意に変化した遺伝子を抽出したところ、栄養素代謝、刺激応答、細胞周期に関する遺伝子が多く含まれていた。栄養素代謝に関する遺伝子については、概ね2週間投与と同様なエネルギー代謝全体の変化が示唆された。細胞周期に関する遺伝子の発現変動は、3日間のMg欠乏食投与により観察されたことから、Mg欠乏食投与は、一過的な細胞周期制御に影響を与える可能性が示された。 以上のようにMg欠乏食投与2週間と3日間では、幾つかの血清中の指標および肝臓中のトランスクリプトーム解析において、投与期間に特徴的な変化を捉えることができた。
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