2013 Fiscal Year Annual Research Report
機能化サプリメントを目指した脂質ータンパク質ハイブリッド型キャリアの創成
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24700823
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
太田 明雄 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (10324104)
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Keywords | カゼイン / リポソーム / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
栄養補助食品(NC)の高機能化を目標に、NCのキャリアとなり且つそれ自身がNC成分である、カゼインミセル、ならびにレシチンリポソームのハイブリッド化と、NCキャリアとしての有用性を明らかにすることを目的に研究を行った。カゼインは牛乳由来のカゼインナトリウム塩を、レシチンにはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)ならびにジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC) を、抗酸化作用物質としてポリフェノールの一種であるゲニステインをそれぞれ利用した。初年度は、カゼインミセルの臨界会合濃度や会合体サイズ、ならびにカゼインミセルへのゲニステインの可溶化量を明らかにした。二年目にあたる最終年度は、主にリポソームへのゲニステインの可溶化量ならびに、可溶化されたゲニステインの抗酸化能力の検討を行った。 ゲニステインは疎水性の高い物質であり、殆ど水に溶解しないため可溶化操作が必要である。カゼインミセルを利用した場合、その可溶化量はカゼイン1分子あたり1~2個程度であり、質量比に換算するとカゼインの0.5%程度のゲニステインしか可溶化できない事がわかった。一方リポソーム系では、リポソームを構成するリン脂質分子の10倍程度のゲニステインを可溶化できることが分かった。 他方、可溶化されたゲニステインの抗酸化作用をABTSラジカル消去能から見積もったところ、リポソーム系は可溶化されたゲニステインの量に単純に比例する一方、カゼイン系ではカゼイン自身にも抗酸化作用が認められ、キャリアとしてのカゼインとゲニステインの抗酸化作用に関する相乗効果が確認できた。 以上の結果より、カゼイン系ではゲニステインの抗酸化作用を向上させる働きがあり、リポソーム系ではゲニステインの可溶化量を向上させることが可能であり、両者を同時に用いる事で抗酸化物質の質・量両面からの機能化が達成されることが明らかとなった。
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