2012 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレス応答制御因子ATF6を介した生活習慣病発症機構の解明
Project/Area Number |
24700829
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
親泊 美帆 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教務補佐員 (00596158)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ATF6 / 小胞体 / ストレス / 食生活 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
平成24年度は、食事因子による代謝変化におけるATF6の生理的な役割について、ATF6ノックアウトマウスを用いた以下の2つの解析を行った。 1)食事変化による代謝環境変化による小胞体ストレスの測定 肝臓、脂肪、骨格筋、腸管(4つの臓器が糖・脂質代謝で中心的に働くため)にて、高タンパク食、高糖質食、高脂肪食の食事条件で正常マウスにおける小胞体ストレスを生化学的方法にて測定した。次に、ウェスタンブロットでATF6の活性化を測定、RT-PCRでXBP1のスプライシングを測定、ウェスタンブロットでPERKのリン酸化を測定した。 2) ATF6ノックアウトマウスでの糖・脂質代謝の測定 ATF6α-/-マウス、ATF6β-/-マウス、ATF6α+/-ATF6β-/-マウス、ATF6α-/-ATF6β+/-マウスにおいて生理学的検査(体長、体重、食事摂取量、代謝率など)、血液生化学検査(早朝血糖値の推移、中性脂肪、遊離脂肪酸、コレステロール、クレアチンキナーゼなど)、ブドウ糖負荷試験(ipGTT)とインスリン負荷試験(ITT)、組織染色、免疫染色による脂肪サイズやマクロファージ活性化、マイクロCT、また、薄層クロマトグラフィーにて脂肪酸やリン脂質の変動の解析を行い、比較した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブドウ糖負荷試験(ipGTT)とインスリン負荷試験(ipITT)、組織染色、免疫染色による脂肪サイズやマクロファージ活性化、マイクロCT、また、薄層クロマトグラフィーにて脂肪酸やリン脂質の解析から高脂肪食で、ATF6αノックアウトマウスとATF6βノックアウトマウスの耐糖能が異なることを見出した。そのメカニズムを明らかにするための脂肪組織、肝臓などでマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析のためのサンプルを調製することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、小胞体ストレス応答を司るATF6に着目することで、食事による代謝調節に小胞体からのシグナルがどのように統合されているかを明らかにすることを研究目的としている。今年度に得られた詳細な表現型の解析結果を基に、野生型マウス、ATF6α-/-マウス、ATF6β-/-マウス、ATF6α+/-ATF6β-/-マウス、ATF6α-/-ATF6β+/-マウスで病態モデルを作製し、表現型の比較解析を行う。さらに、そのメカニズムを明らかにするために脂肪組織、肝臓などでマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行い、食事因子による生活習慣病発症におけるATF6の病理的な意義の解明を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
野生型マウス、ATF6αノックアウトマウス、ATF6βノックアウトマウスに高脂肪食を負荷した肥満モデルを作製し、その表現型を詳しく解析すると同時に、代謝の要である脂肪や肝臓でのマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析により分子機構も明らかにする。そのため、次年度の繰越額は、マイクロアレイやRT-qPCRなどの分子生物学的解析に必要な試薬とマウス代謝表現型を明らかにするための生化学的解析に必要な試薬に使用する。また、その成果を論文発表や学会発表を行うための必要経費にも使用する。
|
Research Products
(10 results)