2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700835
|
Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
田邊 宏基 名寄市立大学, 保健福祉学部, 助教 (60573920)
|
Keywords | 栄養学 / 動物 / 発酵 / 水素ガス |
Research Abstract |
本研究の目的は大腸発酵由来水素の一部が全身の組織へ移動することを明らかにするとともに、生体内へ広く供給された水素が肥満等の全身の酸化ストレス軽減に寄与することを明らかにすることである。 この目的の達成のために、大腸発酵由来水素の生体内分布を網羅的に解明し、門脈を介した経路のみでは全ての組織に水素を供給しえないことを明示した。具体的には、標準飼料または難消化性糖質のハイアミロースコーンスターチ (HAS) を20%添加した飼料をラットに与え、それぞれをC群、HAS群とし、呼気+放屁、門脈血、末梢血、肝臓、脾臓、腎臓、腎周囲脂肪、精巣、精巣上体周囲脂肪、肺、脳から含有水素量を測定した。2群間に有意な差が認められたのは、(呼気+放屁) 水素排出量、腹腔内投与生理食塩水中水素濃度、門脈水素濃度、腎周囲脂肪水素量、精巣上体周囲脂肪水素量であった。門脈を経由する水素移動経路に関係するのは門脈、肝臓、肺である。一方、腎周囲脂肪、精巣上体周囲脂肪では門脈血中水素濃度よりも濃い状態で水素が含有されていることを新たに発見した。これらの脂肪組織は門脈を経由する移動経路では水素が到達しない部位である。さらに、HAS群の腹腔内投与生理食塩水中水素濃度はC群に比べ約10倍高く、大腸発酵水素は臓器を貫通、腹腔内を経由して広く全身に到達する可能性が示唆された。 次に、遺伝的肥満モデルマウスを用いて大腸発酵由来水素の酸化ストレス軽減効果を確認するに当たり、肥満を誘発する遺伝的背景が大腸水素生成に与える影響を検討し、野生型マウスよりも肥満型マウスで難消化性糖質のフラクトオリゴ糖による大腸水素生成が強く誘導されることを明らかにした。これは腸内細菌叢の変化によるものであると考えられるが、肥満モデルの細菌叢でも水素生成を増強する難消化性糖質を発見できたことは、今後の肥満モデルを用いた検討において非常に有益である。
|
Research Products
(4 results)