2014 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠糖尿病の母児の予後と植物ポリフェノールによる保護効果
Project/Area Number |
24700836
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
向井 友花 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (60331211)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 妊娠糖尿病 / フルクトース / AMP活性化プロテインキナーゼ / 肝臓 / 植物ポリフェノール / 糖脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠糖尿病は母親自身や児の2型糖尿病発症のリスクを高める。ある種の植物ポリフェノール(PP)は、長寿遺伝子サーチュインや糖・脂質代謝の調節因子AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し2型糖尿病や肥満の予防改善に有効であることが知られているが、妊娠期の生体における作用は分かっていない。そこで本研究は、妊娠糖尿病の母児の予後に及ぼす植物PPの影響を明らかにすることを目的とした。 平成24-25年度には、フルクトース(Fru)を過剰摂取させて妊娠糖尿病様とした母ラットから出生した雌性仔ラットは肝Sirt1-AMPKシグナル経路を介した糖代謝異常を示すが、授乳期にメリンジョ由来PPを与えると、離乳直後には肝及び視床下部AMPKが、成長後では肝AMPKが活性化し、糖・脂質代謝が改善する可能性が見出された。 最終年度は、妊娠期の肝脂質代謝におけるFru過剰摂取、および高血糖状態の肝脂質代謝における植物PPの作用機序を調べるため、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)を用いた検討を行った。まず、妊娠期に胎盤から分泌されるヒト胎盤性ラクトゲン(PL)を添加したHepG2に0~10mM Fruを同時添加し、培養48時間後のAMPK及びアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)の発現とリン酸化、及び細胞内トリグリセリド(TG)量を評価した。その結果、PL存在下ではHepG2内のAMPK及びACCのリン酸化はFru濃度依存的に亢進し、細胞内TG量は減少した。よって妊娠期のFru過剰摂取は母体の肝脂質代謝に障害をもたらすことが示唆された。次に、生理的あるいは高濃度のグルコース存在下のHepG2に、0~10μg/ml赤タマネギ由来PPを同時添加して培養し同様に評価した。その結果、赤タマネギPPはHepG2内のAMPK活性化あるいはACC不活性化を誘導することが見出された。 以上のことから、妊娠期のFru過剰摂取は妊娠糖尿病様の糖・脂質代謝異常を惹起し、植物PPは母体や子の肝AMPKを活性化して糖・脂質代謝を改善する可能性が示された。
|
Research Products
(7 results)