2013 Fiscal Year Research-status Report
加齢・生活習慣病のタンパク質アルギニンメチル化への影響とアルツハイマー病への役割
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24700840
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 麻希子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60437001)
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Keywords | 高脂肪食 / 加齢 / アルギニンメチル化 |
Research Abstract |
研究は以下の2つを同時並行で行った。 1)cytochrome oxidase subunit 2 (COX2) のアルギニンメチル化の意義の解明 昨年度までに我々は、加齢および高脂肪食によって発現量が減少するADMA化タンパク質としてcytochrome oxidase subunit 2 (COX2) を同定した。今年度は、このCOX2がin vitroでADMAされるかどうか、また、そのADMA化がcytochrome oxidaseの活性に及ぼす影響を検討するため、リコンビナントCOX2の発現系の構築の検討を行った。当初は、アミノ酸配列の全長を発現させることを試みたが、本来、ミトコンドリアに局在するタンパク質であるためか、全長をGST融合タンパク質発現用のベクターpGEX6-1に全長を挿入しても大腸菌で発現させることは、できなかった。また、ベクターをpTD1に変更して無細胞発現系を使用しても発現することはできなかった。そこで、COX2の全配列のうち、ADMA化され得る箇所を検討し、ペプチド断片で発現させることとした。その結果、100-145aa, 146-174aa, 175-228aa, 181-228aaの4種類のペプチド断片を発現させることができた。今後、これら断片がin vitroでADMA化されるか否かについて検討していく予定である。 2)ショ糖添加高脂肪食によって誘導した糖尿病モデルマウスにおける脳内ADMA合成・分解系の変化について 昨年度採取したマウス大脳皮質においてCARM1が発現していること、また、その発現量は加齢により有意に上昇し、高脂肪食摂取は影響しないことを明らかにした。また、長期に高脂肪食を摂取することにより大脳皮質のPRMT3の発現量が減少することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COX2のリコンビナントを作製するのに非常に時間がかかってしまったため、研究に遅れが生じた。ペプチド断片でCOX2を発現させることができたので、今後は、これら断片がADMA化されるかをまず確認する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までのPRMTsの発現量の解析結果から、加齢や高脂肪食によって、シナプス形成や樹状突起の形成に関わる分子の発現量が変化している可能性が示唆された。今後、これらの分子の発現量について明らかにするとともに、組織化学的な検討を行ってく予定である。これらの結果をもとに、加齢や高脂肪食が脳機能に及ぼす影響を明らかにする。また、これまでに我々が、加齢や高脂肪食によってADMA化率が変化することを見出したCOX2は、電子伝達系で重要な役割を果たしている。近年、アルツハイマー病などの神経変性疾患には酸化ストレスが関わっているという説がある。COX2のADMA化が電子伝達系に及ぼす影響を検討するため、in vitroでのADMA化が確認できれば、哺乳動物細胞を用いてCOX2の変異体を作成し、複合体形成の変化や機能について解析を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)