2012 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病患者自己管理システムに係る画像を用いた食事評価マニュアルの開発
Project/Area Number |
24700843
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
加藤 滋子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (50382437)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病食事指導 / 自己管理システム / ICT / 食事画像 |
Research Abstract |
糖尿病患者の血糖コントロールや糖尿病進行の遅延に食事療法が重要であることは広く知られている。本研究では、より効果的な糖尿病の食事療法を行うために、料理画像を用いて簡便かつ正確に栄養価計算のできるマニュアルを作成することを目的とした。 独自に開発中の栄養価計算マニュアルには、基準となるおよそ1300種類の料理または食材、料理の写真、1回または1食当たりの食品重量目安、特定の栄養素等がカテゴリに分けられて記載されている。本マニュアルを用いて、管理栄養士経験者3名に依頼し、主食主菜を中心とした真値の明らかな料理画像(28種類、70品)から読み取った栄養価を算出した。その結果、以下のことが明らかになった。 ①経験者の読み取りの精度は高いが、器の大きさや深さが判断できないと真値からの誤差が大きくなる。②飯50gの違いは写真からは分かりにくい③中身の見えない料理(スープなど)や具が重なっている料理(丼、弁当など)は読み取りが難しい④マニュアルに掲載する食材の順序および分類方法は読み取りやすさや所用時間に影響する。 ご飯に代表される主食に含まれる炭水化物は、総エネルギー摂取量の50~60%が望ましいとされているため1食当たりの摂取量が多く、飯50gは1単位であることからも、糖尿病の食事療法において主食の読み取り誤差をできるだけ小さくすることは重要であると考えられる。そこで、飯の重量、器および盛りつけ方を変えた写真を用意し、真値との誤差を検証した。基準(飯150gを盛った飯椀)との比較では、基準と異なる器や盛りつけ方の場合に真値との誤差が出やすく、写真の撮り方によっては読み取り値に栄養士経験が影響する可能性があることがわかった。引き続き料理の種類だけでなく、写真の載せ方にも工夫したマニュアルの改訂を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自マニュアルの作成は、管理栄養士経験者の協力の元で検証を行いながら改訂を加えており、現在改訂5版を作成している。概要でも述べたように、飯50gの違いを写真から読み取ることは非常に難しく、かつ重要な問題であると考えたため、飯に特化して量や盛りつけ方、見え方の違いによる真値との誤差のvalidation studyを行った。これにより得られた結果やその他の問題点をまとめると、基準となる料理・食材の載せ方や種類は栄養素の読み取り精度に大きく影響することが明らかとなった。 マニュアル改訂5版では記載方法や収載品目等について案がまとめられ、大まかな完成の目途が立ったため、概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度はまず、改訂作業中のマニュアル(5版)を完成させ、マニュアルの精度についてvalidation studyを行う(具体的な方法は検討中)。同時に、妥当性が確認され次第マニュアルを公表するための準備を進める。また、臨床試験への導入についても検討する。 当初計画していた一般家庭の食事に関するvalidation studyについては、対象者への負担が非常に重いこと、今回対象とする栄養素(エネルギー・タンパク質・脂質・炭水化物・コレステロール・食物繊維・塩分)は限定的であり、一般に報告されている料理の栄養価を用いて対応できると判断したため、実施しないこととした。ただし、必要に応じて小規模での秤量法調査を行う可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、マニュアル作成およびvalidation studyのための食材や器等の購入に20万円程度を、旅費として、24年度の研究成果を学会で発表する際および遠隔地の共同研究者との打ち合わせに40万円程度使用する。また、マニュアル作成およびvalidation studyの協力者、マニュアルの撮影・編集スタッフへの人件費・謝金として30万円程度、その他として印刷用紙や通信費等として10万円程度を使用する予定である。
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