2013 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病患者自己管理システムに係る画像を用いた食事評価マニュアルの開発
Project/Area Number |
24700843
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 滋子 東京大学, 医学部附属病院, 研究員 (50382437)
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Keywords | 2型糖尿病 / 食事療法 / 料理画像 / 食事評価 / 糖尿病自己管理支援 |
Research Abstract |
糖尿病食事療法の基本はバランスの良い食事を摂る事であるが、料理に含まれる栄養素やそのバランスを評価するためにはある程度の知識と技術が求められるため、患者自身が正しく料理を選択し食事を評価することは容易でない。そこで、糖尿病患者が簡便かつ客観的に食生活を評価し改善できるようにするための支援ツールとして、料理画像から簡単に栄養価を推定しバランスの良い食事を選択できるマニュアルおよび栄養価推定方法を開発することを目的とした。 本マニュアルでは料理毎に栄養価を算出し、何(料理)をどれだけ(量)食べれば良いかが分かるようにした。料理は日本人の食事パターンに従い、主食、主菜、副菜、汁物に分類し、更に主食をご飯類、麺類、パン類に細分した。それぞれの項目には、代表的な料理の写真、具材、重量と栄養価の一覧表、盛り付けに使用した器の大きさが記載されている。また、基本の料理を他の具材と組み合わせて栄養価を算出する事も可能である。例えば炒飯は、ご飯類から炒めご飯を選び、マニュアルの写真と手元の料理画像を比較して重量を推定し、栄養価一覧表からその重量に相当する栄養価を算出する。以上のステップを複数の料理画像では全ての料理に対して行い、それらの合計から食事摂取状態を評価する。 真値の明らかな主食の料理画像33件を用いて、管理栄養士8名を対象に行った検証より、参加者全員が正確に主食の種類を回答した料理は22件(66.7%)だった。そのうち12件(54.5%)は真値との重量の推定誤差が±10%以内であり、2件(9.1%)については真値とは異なるが全員が同じ重量を推定した。聞き取り調査では4名(50%)が「使いやすい」、6名(75%)が「栄養管理に利用できると思う」と回答した。食事の評価方法として有用であると考えられたが、一部の料理基準の見直しや表記内容について改訂が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的は次の3つを掲げている(1)料理画像からその料理に使用された食材や分量を推定し摂取エネルギー量や栄養素量を正確かつ簡単に推計するマニュアルを作成し、料理画像を用いた食事の評価方法を開発する、(2)その評価方法から得られた推計値を既存の食事評価法から得られた値と比較し本評価方法の精度/妥当性を検証する、(3)血糖コントロールを有意に改善すると報告されているスマートフォンを利用した2型糖尿病患者の自己管理支援システム―DialBeticsと本評価方法を統合し患者への食事指導に活用し臨床的効果を検証する。 このうち、1のマニュアル開発については主食部分の完成目途が立っている。残りの主菜、副菜、汁物、その他のページについても必要な資料は揃っており現在制作中である。目的2のマニュアルを利用した評価方法の精度の妥当性検証については、主食についてのみ管理栄養士を対象に実施し、本マニュアルの有用性を確認するとともに、改善点が明確になった。他の項目についても、マニュアルが完成次第検証を行う。目的3の臨床効果の検証については検討中である。そのため、現在までの達成度はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
マニュアルの有用性が確認された一方で、主食部分の修正すべき点が明確になった。主菜、副菜、汁物、その他のページについても26年度夏を目途にマニュアルを完成させ、妥当性の検証を行う。評価方法の精度検証は、当初は60名程度に各々の家庭にて秤量法を実施する予定だったが、真値の明らかな料理の写真を用いた方法に変更し、管理栄養士20名程度を対象に実施する。26年度は、マニュアルの精度を上げて書籍として出版できるレベルにまで仕上げることを目標とする。そのため、目的3の糖尿病患者を対象とした検証試験の実施については、次年度以降の課題に変更する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マニュアルを用いた食事評価方法の精度を検証するため、当初は60名程度を対象に秤量法を実施する予定だったが、真値の明らかな料理写真を用いた方法に変更した。1回あたりの検証人数を減らして検証回数を増やしたため、謝金の総支払額が減少し未使用額が発生した。 なお、本研究は補助事業期間の延長が承認されている。 主に、マニュアル検証のための謝金(7,000円×20名)およびマニュアル改訂のための製作費(校正、編集費450,000円)として使用する。また、新しい食事評価方法としてのマニュアルの有用性を報告するための旅費(栄養食糧学会他 120,000円)や投稿費用・他(100,000円)に利用する。
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Research Products
(1 results)