2012 Fiscal Year Research-status Report
食品の非可食部に由来するポリフェノールの脂質代謝調節
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24700848
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
田村 倫子 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (60451845)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ポリフェノール / 脂質代謝 / プロシアニジン / 構造決定 / ピーナッツ種皮 / 食品機能 / コレステロールミセル / 腸管吸収 |
Research Abstract |
食品の非可食部に由来するポリフェノールの脂質代謝調節を明らかにすることを目的とし、特に本年度はラッカセイ種皮から構造の異なる数種類のポリフェノールを単離し構造決定することを主眼に以下の内容を実施した。 1、具体的内容(1)ラッカセイ種皮に含まれるプロシアニジンの単離・精製を行った。具体的には、ラッカセイ種皮抽出液(peanut skin extract, PSE)から、限外濾過法、クロマトグラフィーの手法を用いて2および3量体プロシアニジンを分離した。(2) 単離したプロシアニジンを1H-NMR、13C-NMR、および各種2次元NMRに供し構造決定した。(3) プロシアニジンによるコレステロールミセル不溶化能を試験した。単量体の(+)-カテキンにはミセル不溶化能がない一方で、2および3量体プロシアニジンにはミセル不溶化能が認められた。また、プロシアニジンは3量体の方が2量体よりも強いミセル不溶化能を有することが明らかとなった。 2、意義 プロシアニジンによる高コレステロール血漿抑制作用は、腸管でプロシアニジンがコレステロールミセルを不溶化し、コレステロールの吸収を抑制することに起因することが強く示唆された。構造上の違いからコレステロールミセルとポリフェノールの作用機序を明らかにすることで、機能性因子が生体物質にどのようにアプローチするかを推測できることに加え、より活性の強い構造を確認することができた。 3、重要性 日常の食生活によって未然に疾病を防ぐことを目指した食品の機能性に関する研究は、国際的に大きく発展してきたが、抽出液といった混合物での検討例が多い。本実験ではピーナッツ種皮から複数のプロシアニジンを単離し、それらの構造の違いによる機能性の変化について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ラッカセイ種皮に含まれるプロシアニジンの単離・精製、および単離したプロシアニジンの構造決定が本年度の目的であったが、予定通り3量体プロシアニジンを単離し、これがepicatechin-(4β→6)-epicatechin-(2β→O→7, 4β→8)-catechinであることを明らかにした。さらに、平成25年度の計画であったポリフェノールの構造とミセル不溶化の関係についても検討することができた。現在、これらの内容を論文としてまとめ掲載準備中(雑誌論文欄に記載)である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに単離したプロシアニジンを用いて、新たに以下の検討を行う予定である。 (1)PSEの血糖上昇抑制作用の検討・・・ラットにPSEを100~200mg/kg投与した後、デンプン、マルトース、スクロース、グルコースなどの糖質を負荷し、負荷直後から120分後の血糖値を測定することで血糖上昇抑制作用を検討する。推進方策:血糖値を測定する間隔を検討する。現在は30分間隔で測定する予定であるが、糖を付加した直後の血糖値は15分間隔で測定するなどの工夫を試み、各種プロシアニジンの血糖上昇抑制作用の有無について詳しく検証する。 (2) ピーナッツ種皮ポリフェノールの糖質分解酵素に対する阻害作用の検討・・・ラッカセイ種皮から単離した2および3量体プロシアニジンと単量体の(+)-カテキンについて、α-アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼなどの糖質分解酵素に対する阻害作用をin vitroの系で試験する。推進方策:最大の酵素活性を保持できる反応条件でプロシアニジンの酵素阻害作用を比較できるよう検討する。 (3) ピーナッツ種皮ポリフェノールのグルコース取り込み阻害作用の検討・・・ラッカセイ種皮から単離した2および3量体プロシアニジンと単量体の(+)-カテキンについて、腸管からのグルコース取り込みを阻害するかどうか、14C-グルコースとcaco-2細胞を用いて比較検討する。推進方策:プロシアニジンが腸管細胞への取り込みを阻害することに加えて、腸管細胞に取り込まれたグルコースの体内への移行を阻害する可能性も加味し、細胞内に取り込まれた14C-グルコース量と、細胞を透過した14C-グルコース量の両者について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験試薬の一部に利用する
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Peanut-SkinPolyphenols, Procyanidin A1 and Epicatechin-(4β→6)-epicatechin-(2β→O→7,4β→8)-catechin, Exert CholesterolMicelle-Degrading Activity in Vitro2013
Author(s)
Tomoko Tamura, Naoko Inoue, Megumi Ozawa, Akiko Shimizu-Ibuka, Soichi Arai,Naoki Abe, Hiroyuki Koshino, and Kiyoshi Mura
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed