2013 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎の栄養療法を目指したn-3系脂質の脂質代謝に及ぼす影響
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24700852
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
村上 泰子 福山大学, 生命工学部, 講師 (90326413)
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Keywords | NASH / 非アルコール性脂肪性肝炎 / n-3系脂肪酸 / コリン・メチオニン欠乏 |
Research Abstract |
NASH病態モデルである、コリン・メチオニン欠乏食を給餌したマウス(MCDマウス)を用いてEPA高含有魚油を補給し(EPA群)、n-3系脂質補給の肝リン脂質種量に与える影響、肝リン脂質種脂肪酸組成に与える影響について分析を行った。 コリン・メチオニン欠乏状態にあるMCD群、EPA群では、いずれもホスファチジルコリン(PC)がコントロール群より低下していた。また、ホスファチジルエタノールアミン(PE)はコントロール群に比べMCD群で増加していた。ホスファチジルイノシトール(PI)は、コントロール群に比べMCD群、EPA群で増加していた。PCの脂肪酸組成は、MCD群でコントロール群に比べ、パルミチン酸の減少やステアリン酸の増加が見られたが、飽和脂肪酸の総量には差はなかった。一方、EPA群ではパルミチン酸の減少は見られず、ステアリン酸の増加が確認された。また、EPAを主とするn-3系脂肪酸の増加とともに、n-6系脂肪酸であるリノール酸やアラキドン酸の低下が認められた。コリン・メチオニン欠乏で増加あるいは増加傾向にあったPEは、MCD群でアラキドン酸やEPAなどの多価不飽和脂肪酸の減少が特徴的であった。EPA群では、n-3系脂肪酸の増加とともにパルミチン酸などの飽和脂肪酸の増加とアラキドン酸の低下が認められた。肝中性脂肪量の評価より、EPA群では肝臓への脂肪蓄積が有意に抑制されていた。 EPA群で飽和脂肪酸が多かったことについては、EPA投与がリン脂質の生合成やリモデリングに影響を与えている可能性が予想された。また、血液生化学指標において観察されている肝細胞障害の抑制とも関連があると示唆される。MCD-NASHモデルへのn-3系脂肪酸の投与が肝リン脂質脂肪酸組成に与えた機序については、今後、他のNASHモデルの解析も含め検討を継続する。
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Research Products
(1 results)