2012 Fiscal Year Research-status Report
土壌物理性の改良技術が作物の育成に効果的であること示す教具および教材の開発
Project/Area Number |
24700872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浅野 陽樹 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30437941)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土壌物理性 / 排水性 / 最大容水量 / 教材化 / 簡易測定 |
Research Abstract |
土壌物理性を簡易的に測定するための器具として、ペットボトル容器を加工し、測定器を製作した。飽和透水係数の測定精度を確保するためには、測定器の排出口を大きくする必要があることがわかった。水分飽和時の実容積測定結果と各用土の粒度分布測定結果より、土の種類および粒径により孔隙率が異なる事が明らかとなった。飽和透水係数については、いくつかの土では簡易測定が可能なこと、またいくつかの土壌改良資材では公定法を用いた場合にも大きな誤差が生じる事が明らかになり、土壌改良資材については充填方法をさらに改良する必要がある。最大容水量については、おおよそ簡易的に測定することができた。有効水分量については、高吸水性高分子を用いる手法ではなく、土壌の種類と土壌水分%から近似値を計算する方法が良いと判断し、そのため現在は近似値を出すためのデータを収集している。この手法は、膨大なデータの集積が必要なため平成25年度以降も継続する。 また、土壌の排水性と生育の関係についての栽培試験も平行して実施した。シラス土および黒土を基盤土として、バーミキュライト、赤玉土および鹿沼土を混合することで、保水性や排水性といった土壌物理性の異なる混合土を調製し、それぞれ灌水量の異なる条件下で大根を栽培し、生育への影響を調査した。その結果、排水性の高いシラス土では土壌改良の有無に関わらず多灌水で生育が良いこと、また黒土では多量灌水によりダイコン軟腐病が発症することが明らかになった。教材としては、黒土に赤玉土や鹿沼土を混合し排水性を高めることで生育減衰を抑える事を示す条件が有力と考えられた。ただし、バーミキュライトを混合した排水性の良い条件下でも生育が悪くなったことから、排水性改善技術と生育の因果関係を明らかにする必要があり、次年度以降の検討課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌物理性の簡易評価法の開発に関して、ペットボトルを用いた測定器の製作、誤差のない充填方法の確立、および最大容水量の簡易測定法の確立についてはほぼ達成している。飽和透水係数および孔隙率の簡易測定法の確立については概ね達成しているものの、一部の土壌改良資材では土粒径の均一化といった前処理の必要が生じたことと、精度を高めるために誤差の大きいデータに関して追試験を行ったことから、次年度以降にも検討することになった。有効水分量の簡易測定法については、公定法といくつかの簡易測定法で得られた結果をデータベース化して算出する方法を用いたため、膨大なデータの集積が必要となり次年度以降も継続する運びとなった。 土壌物理性の異なる土壌の調整に関しては、黒土やシラス土に土壌改良資材を混合することで、飽和透水係数や最大容水量の異なる土を調整することができている。 また、主に平成25年度以降の課題ではあるが、土壌物理性の異なる土壌を用いた栽培試験も実施しており、いくつかの知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度計画で課題として残された内容について、データを収集し解析するとともに、次に記す平成25年度計画に沿って進める。 平成24年度に調製した土壌物理性の異なるいくつかの土を用いて、トマト、ダイズ、イチゴおよびコマツナをポットならびに露地圃場において栽培し生育を比較する。また、土壌の水分状態が生育に及ぼす影響を詳しく調査するため、栽培条件として灌水量の異なる処理を設けた要因実験を追加する。 生育の評価指標として草高、葉数、主茎長等を調査し、生産量の評価指標として収穫量、収穫数、1個あたりの重量等を調査し、また生産物の品質の評価指標として秀品率や糖度等を調査する。調査結果と土壌の物理性および土壌の水分状態との関係から、土壌物理性の改良が作物の生産性を向上する事が明確に解るような作目、混合土の種類、またそれらの組み合わせを選定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)