2013 Fiscal Year Research-status Report
ディジタルハードウェア研究開発を主題材とするPBL演習の実践と検証
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24700876
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
橋本 浩二 福岡大学, 工学部, 助教 (40412572)
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Keywords | プロジェクト型学習 / ハードウェアPBL / スマートカーペット / 在宅看護支援 |
Research Abstract |
本研究では、ディジタル・ハードウェア領域の開発あるいは組込みシステムのソフトウェアとハードウェアの協調型技術開発設計を主体とし、かつ、研究開発テーマの業務請負的な要素を含むPBL演習テーマを構築し、その教育効果を検証する。平成25年度は平成24年度に取り組んだ「研究開発テーマの業務請負的な要素を含む、ディジタル・ハードウェア領域の技術開発・設計を行うPBL演習テーマ」の応用展開に取り組みつつ、組込みシステムのソフトウェアとハードウェアの協調型技術開発設計を主体とする、新たなPBL演習テーマを構築し、取り組んだ。前者のPBLでは、画像処理システムの重要構成要素である除算回路について、その低消費電力化と処理スループットの最適化を目指して研究開発を進めた。後者のPBLは「在宅看護中の患者の動態をセンシングするスマートカーペット」の開発を題材として設定し、実施した。具体的には、圧力センサが内蔵されたカーペット・モジュールを十数枚敷き詰めた部屋において、患者の動態を常にセンシングする。カーペット・モジュールからの情報はセンサネットワーク上の小型組込みシステムに集約され、サーバへ送信される。そして介護者および医療関係者が所有する端末・PCから、患者の動態を把握できる、というものである。カーペット・モジュールは、非常に安価で実用的なものの新規開発に着手した。また、システムのユーザ・インタフェースについても別のPBLとして分離し取り組んだ。本PBLでは、システムのユーザビリティおよび老人・在宅患者の動態特性の考察から取り組んでいく開発工程と、カーペット試作開発における回路・構造面からの考察から取り組んでいく開発工程とを融合させることで、ICT・組込みシステム・センサデバイス技術に取り組む。本PBLは平成26年度において継続して実践し、その教育的効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度からの継続PBLテーマの応用展開に関しては、一定の成果を得られた。またPBLの実施後評価を実施し、十分に高い教育効果が得られたことを確認した。次に平成25年度に実施したPBL演習テーマについて、システム本体を修士1年生2名と学部4年生1名で構成されるチームが、ユーザインタフェースを学部4年生3名から構成されるチームが担当して取り組んだ。システム本体については、スタートアップの時点で大きな遅延が生じ、開発進捗に問題があった。さらに使用部材の調達の都合もあり、ハードウェアの構成上、大きな課題を抱えたまま、試作品の開発を進めざるを得なかった。結果、平成25年度末までにPBLの仮想顧客が要求する水準には到達できなかった。 またユーザインタフェースについては、途中で何度も開発方針を変更したり、メンバの技術スキル上の制約が障害となり、実際に問題なく動作するところまでの実装には至らなかった。ただ、両チームとも、残った課題の解決策については、自らの自己評価および対外発表を通じて明確化・意識づけはできており、教育的効果という点では十分に成果があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度から新たに取り組んでいる研究開発の請負業務的な要素を含むPBLテーマについて、より高精度・高耐久カーペットの開発およびシステム全体の開発に取り組み、あわせて実施後評価を行う。具体的には以下の通りである。 (1) 請負元の教員は、開発テーマの基本的な要求項目は維持しつつも、より具体的な数値目標を提示する。そして技術アドバイザの教員は、迅速なアドバイス・使用機材の提供に努める。 (2) ソフトウェア・ハードウェア開発の垣根を越えた協調開発を実現し、学生自ら、問題点の迅速な解決ができるようにする。カーペット・ハードウェアの改良品試作を7月までに終わらせ、早急に、ソフトウェアの抜本的な改良およびシステム通信系の改良に着手する。本PBLは平成26年度12月までを実施期間として設定する予定である。 (3) 実施後評価を平成27年1月から3月に実施する。ここでは、平成24、25年に実施したPBLの総括もあわせて実施し、PBL演習により得られた研究開発成果および人材育成効果について、第3者を交えて細部まで評価する。評価結果は報告書として取りまとめる。 報告書には専攻および大学学部の教育カリキュラムの修正要望箇所、要改善項目を盛り込むこととし、教育カリキュラムのPDCAを実現したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に新たに取り組み始めた研究開発請負型のPBL演習の実践は、平成25年度中に終了する予定であった。しかし技術的課題の解決に想定以上の時間を要し、予定期間中に開発を終えることができなかった。その結果、学会・シンポジウムでの発表および試作開発にかかる経費を当初の予定通りに使用しなかったため、未使用額が生じた。 現在実践中のPBL演習テーマにおける開発作業を平成26年度まで延長することとし、技術レベルを高めて実用的な工夫を盛り込んだPBL演習テーマへとステップアップして取り組みたい。そして、実践してきたPBLによる研究開発成果、および教育効果の検証内容を、学会・シンポジウムにて発表したい。未使用額は上記の経費に充てることとしたい。
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Research Products
(2 results)