2012 Fiscal Year Research-status Report
科学技術コミュニケーションの送り手と受け手のギャップに関する社会心理学的研究
Project/Area Number |
24700877
|
Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
武田 美亜 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 講師 (90509209)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 科学技術コミュニケーション / 社会心理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,科学技術コミュニケーション(SC)活動に見られるコミュニケーションの送り手と受け手のギャップおよびそのメカニズムを明らかにすることである。2012年度は(1)SC研究および実践報告のレビューと(2)SC場面における送り手と受け手の認知のギャップに関する調査を行なった。 (1)について,SCに関する国内外の主要な学術誌4種(PUS,JCOM,Science Communication,JJSC)の過去10年分(2002~2012年8月)の論文を対象に,論文の概要(論考か実証研究か実践報告か),調査対象者(科学者,コミュニケータ,ジャーナリスト,公衆,など),研究方法(質問紙調査,面接,観察など)などの観点から整理を試みた。異なる立場の人の間の価値観などのギャップを扱った研究は多く見られたが,あるSC活動での具体的なコミュニケーションにおいて見られるギャップを扱った研究は少ない傾向が見られた。 (2)に関して,サイエンスコミュニケータ養成のための講習の受講生を対象に,実際のSC活動(博物館来館者に対する短いトーク)の場で,来館者へのアンケートと同時に質問紙調査を行なった。受講生は受け手による自分のトークの評価を過小に推測していた。自分が特に伝えようとしていたこと(テイクホームメッセージ:THM)がどれくらい伝わったかに関しては,半分くらいの受け手に伝わったと推測していた。この結果を受け,研究会等で議論を行なったところ,何らかのメッセージを伝えるという目標を持たないSC活動もありうること,そうした活動におけるギャップをどう捉えるかについても今後検討が必要であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年5月に実父が入院し,その後入退院の繰り返し,在宅看護などを経て12月に他界した。その後の手続きも含め,2013年3月頃まで当初予想していなかった大幅な時間を取られ,研究会や科学イベントへの参加もやむを得ずとりやめたものが多くあったため, SC活動の実践に関する予備調査を実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2012年度に実施できなかったSC活動の実践に関する調査については,2013年3月に科学コミュニケーションセンターが実施した科学コミュニケーション活動の経験に関する調査の項目および調査結果を参考にして項目を検討する。 SC場面における送り手と受け手の認知のギャップに関する調査については継続して実施できるよう依頼をする予定である。ただし,明確なテイクホームメッセージを持たないSC活動もあることから,調査項目については再度検討を要する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査実施(申請者本人が実施できない場合),データ入力・分析の謝礼,および報告書作成のために使用する予定である。
|