2013 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害者支援のための無線ネットワークを用いたパーソナル遠隔情報保障に関する研究
Project/Area Number |
24700885
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
若月 大輔 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (50361887)
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Keywords | 遠隔情報保障 / 無線ネットワーク / 文字通訳 / 手話通訳 / 城郭障害者 |
Research Abstract |
一般的なモバイル端末と無線ネットワークを利用して情報保障を提供するために、ウェブブラウザで利用できる通訳システムの試作を開始した。今年度は遠隔から文字通訳を提供することができるウェブサイトcaptiOnlineを作成し、ウェブベースでの情報保障が実用可能かどうかについて検証を行った。 協力を依頼した文字通訳団体にcaptiOnlineを公開し、動作検証を兼ねて様々な場面で活用してもらった。主に、筑波技術大学のデータベース概論(平成25年度2学期15コマ)、電子情報通信学会福祉情報工学研究会(WIT)第72回研究会(平成26年3月7-8日)、NHK放送技術研究所の技研公開2013-視覚・聴覚障害者の見学会-(平成25年5月29日)で文字通訳を実施した。これらの文字通訳は、無線LANや無線WANを介して現場の音声と映像を遠隔にいる通訳者に送り、captiOnlineで文字通訳を行い、現場で文字を提示する方法で行った。これらの検証を通して、切断が頻発するようなネットワークの状態でなければ、文字通訳が可能であることがわかった。ウェブブラウザのみで文字通訳が可能なため、多くのモバイル端末やOSで利用可能であり、従来の専用ソフトウェアを利用する方法と比較して準備や支援も容易であるとの評価が得られた。 現在、文字通訳者から得られた意見をもとにcaptiOnlineの改良を行っている。さらに、captiOnlineで得られたウェブベースの文字通訳システムの実装や運用で得られた知見をもとにして、手話通訳システムの試作を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目的は、聴覚障害者を支援するための無線ネットワークを用いた遠隔情報保障を実現するためのウェブシステムを構築することであった。文字通訳をインターネットを介して提供することができるウェブサイトcaptiOnlineを作成し、ウェブベースの情報保障が実用可能かどうかの検証を行った。実際に文字通訳が必要な場面でcaptiOnlineを利用した結果、無線LANや無線WANを介しても利用可能であることがわかった。また、通訳者からは、従来の文字通訳専用ソフトとほぼ同等の操作性を備えている、通訳を開始するまでにかかる負担が軽減されるといった意見が多く得られた。一般的なウェブブラウザで利用できるため、端末やOSを選ばないことも好評価であった。 今年度の研究を通して、ウェブベースで実装した遠隔文字通訳ウェブサイトcaptiOnlineが、無線ネットワークを用いた聴覚障害者の情報保障に利用できることがわかった。遠隔情報保障に必要なシステムをウェブベースで実装できれば、専用の高価な機材が不要で人的なコストを抑えることができる遠隔情報保障を実現できることが示唆されたと考える。 以上のことから、本研究の達成度についておおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
遠隔文字通訳ウェブサイトcaptiOnlineを用いた実験を様々な場面や環境で継続的に行い、問題点の改善と有効性について検証を行う。特に、遠隔通訳を行う場合は現場の音声と映像を通訳者側により良い質で送らなければならないため、ウェブベースで効率良く伝送する方法について検討する。 さらに、captiOnlineで得られたウェブベースシステムの実装や運用方法をもとにして、遠隔手話通訳が可能なウェブサイトを試作する。聴覚障害者の端末と手話通訳側の端末とで現場の音声と手話通訳映像を送受信する必要がある。平成24年度の調査結果も踏まえ、現状の無線ネットワーク環境下で実用的な環境を構築可能かどうかについて検討を行う。
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