2013 Fiscal Year Research-status Report
動画像を布置した遠隔相談場面における感情情報の伝達に関する実証的検討
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24700890
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岸 俊行 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (10454084)
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Keywords | 信頼形成 / 遠隔カウンセリング / 感情情報 / 信頼 |
Research Abstract |
本研究課題では、近年の情報通信ネットワークの整備を背景に,心理臨床場面や相談業務場面において,ネットワークを利用した援助活動を有効に行うための基礎研究を行うことを主たる目的としている。その目的遂行のため、以下の3つのステッで研究課題を促進させていく事としている。まず、第一段階として、相談場面における感情表出や感情の伝達、さらには信頼感の形成がどの容認されているのかを明らかにすること、第二段階として、疑似的遠隔カウンセリング場面を構築し、それらの場面で感情表出や感情の伝達がしっかりと行われているかの検証を行う。また、そのような状況において、信頼感が対面と同様に形成されているのかの検討も行う。第三段階として、実際のカウンセリングを遠隔で実践することで、その問題点や課題等を明らかにしていく。 研究課題の2年目では、疑似的遠隔カウンセリング場面の構築およびその際における両者の感情表出の問題の検証を行った。疑似的カウンセリング場面としては、同一大学内の別教室にある2台のPCをつなげ、片一方のマシンの前にカウンセラーがいる状態で、実験協力者がもう一台のPCの前に立ち、臨床的ではない現在の悩みについて述べてもらい、それに対しての簡単なアドバイスを行うという実験を行った。実験協力者12人の疑似カウンセリングの結果、PCを挟んだ感情表出についても、比較的明確に相手の思いを受け取ることは可能であるという結果であった。しかし、カウンセラー側の意見としては、相手の表情の変化がカメラがとらえられていないときに、どういう受け答えをするのが適切なのかの判断に苦しむという点の指摘があった。臨床的に使用するのであれば、カメラ位置やそれに対するノンバーバルなやり取りに関してもう少し詳細な取り決めをしておく必要があるとの意見が出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、以下の3つのステップで行うこととしている。まず、第一段階として、相談場面における感情表出や感情の伝達、さらには信頼感の形成がどの容認されているのかを明らかにすること、第二段階として、疑似的遠隔カウンセリング場面を構築し、それらの場面で感情表出や感情の伝達がしっかりと行われているかの検証を行う。また、そのような状況において、信頼感が対面と同様に形成されているのかの検討も行う。第三段階として、実際のカウンセリングを遠隔で実践することで、その問題点や課題等を明らかにしていく。 研究2年目では、1年目の基礎研究を受け、より実践的な内容として、疑似的遠隔カウンセリング場面の構築及びそのシステムを用いた実践を行い、遠隔カウンセリングにおける感情表出および感情の伝達に関する検証を行う予定となっていた。実際に、遠隔カウンセリングシステムを構築し、12人の実験協力者に対する実践を行った。また、その実践に基づき12人の実験協力者およびカウンセラーに実験自体の評価を行ってもらい、その中で感情表出がどのようになされているのかの検討も行った。ただ、そのインタビューの中において、当初予定していた信頼感の形成まで踏み込んで明らかにしていくことは出来なかった。これは、信頼感というものが何に起因している感情の中を明らかにすることが求められるためである。よって、当該年度に予定していた研究の内容は一部、明らかにできないところがあったものの、概ね達成できたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、ネットワークインフラの整備拡大を背景に、遠隔カウンセリング・遠隔相談を実践すること、さらには、その実践のために検討しなければいけない課題を明確化することを目的としている。研究課題の最終年度においては、実際のカウンセリング場面に 遠隔カウンセリングシステムを援用することで、その問題点や課題を明らかにしていく。具体的には、実際に行われているカウンセリングに対して、来談者に対する説明および合意を経たのち、PCを介した遠隔でのカウンセリングの実施を試みる。そのうえで、臨床的に問題を抱えている来談者にとって、対面で行うカウンセリングと遠隔で行うカウンセリングの差異に関してヒヤリングを行う。また同時に、カウンセリングを行ったカウンセラーに対しても同様のもヒヤリングを行うことで、遠隔カウンセリングの有する問題点・改善点を明らかにしていくと同時に、遠隔カウンセリングの特徴を明確化していく予定である。 また、昨年度に明らかにできなかったこととして、信頼感の形成が対面でのコミュニケーション場面とネットワークを介したコミュニケーション場面においてどのように異なるのかという点に関して、両者を比較する形で明らかにしていく。そのために、上記の実践とは別の形で再度、疑似的遠隔カウンセリング場面を構築しそこでのやり取りと、対面におけるコミュニケーション場面でのやり取りを同一実験協力者に経験してもらい、信頼感の形成という観点においての両者の際の検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度行う予定であった、対面における実験が1回分できなかった。本来、その実験において、実験補助者に謝金を支払う予定であった。1回、実験を行わなかったために、実験補助者に払う分の謝金が当初の計画と異なり、余剰として発生した。 先述したとおり、本来は実験補助者に対する謝金が、1回実験できなかったために余剰として発生してしまったものである。最終年度の初めに、当該実験を実施した際に、実験補助者に支払う計画である。
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Research Products
(1 results)