2012 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム動作可能なレスポンスアナライザを活用した教育方法に関する研究
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24700911
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
水谷 晃三 帝京大学, 医療情報システム研究センター, 助教 (30521421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レスポンスアナライザ / Class Response System / 教育支援システム / 教育工学 / WebSocket / Webベースシステム / 学習記録の分析 |
Research Abstract |
平成24年度の研究では大きく分けて2つの研究を行った. 一方の研究は,すでに運用中であるPC上で動作するレスポンスアナライザを用いた学習記録の分析である.本研究で開発を進めているレスポンスアナライザは,最新のWeb技術を活用してPCだけでなくスマートフォンやタブレット型の端末で利用できるようにする.これらの端末は学習目的以外のWebアクセスやゲームなどの娯楽ツールにもなり得る可能性がある.レスポンスアナライザを活用した教育方法を有用なものとするためには,これらの端末を活用する場合に生じる問題点と解決方法をあらかじめ検討しておく必要がある.そこで既存のレスポンスアナライザを用いて学習情報を記録し,記録された情報を分析することにした.本年度の研究では,分析ツールの開発と基本的な統計情報の抽出を行った. 他方の研究は,新たに開発するレスポンスアナライザの基本アーキテクチャの検討である.新たに開発するレスポンスアナライザは,①WebSocketを用いたリアルタイム動作可能なWebベースシステム,②学校内全ての講義を1つのシステムで賄えるスケーラビリティ,を主要要件としている.この2つの要件を満たすための検討を行った.WebSocketに関しては主要なサーバサイド製品やAPIを比較した.中でもSignalRはWebブラウザがWebSocketに対応していない場合でもAjaxによる非同期なポーリング接続を活用することで,サーバ側からクライアント側へリアルタイムにデータを送信するための実装を有している.クラウドサービスの活用を想定した実装も有しており,本研究のシステムを実現するために適していると判断された.そこでSignalRを用いた簡易的なシステムを構築し,PC上のブラウザ,タブレットやスマートフォン型端末のブラウザなど様々なブラウザ間でリアルタイム通信が可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の交付申請時においては,平成24年度の研究計画を(A)既存のPC上で動作するレスポンスアナライザに関する研究成果の発表を行う,(B)発表時に得られた意見を積極的に取り入れて本研究の試作システムの基本機能及びシステムアーキテクチャを検討する,(C)平成24 年度後半からプロトタイプの実装を開始するとしていた.研究実績の概要において述べたように,既存のPC上で動作するレスポンスアナライザにおける学習記録に関する研究を行い,学会にて発表している.本研究の試作システムのためのシステムアーキテクチャの検討についても予定通り行っており順調に進展している. プロトタイプの実装開始についてもほぼ予定通りである.実際には,簡易的なシステムを実装して評価する作業に留まっており,レスポンスアナライザの基本機能を有するプロトタイプの開発には着手できていない.しかしながら,システムアーキテクチャの検討においてSignalRを用いることに決定したことによって,研究作業の遅延は大幅に改善できると考えている.当初の研究計画では,スケーラビリティを高めるために複数のサーバを用いた多層構造を実現するため,サーバ間の通信プロトコルはマルチキャストを用いた独自仕様のものを計画していた.プロトコルの設計から実装,テストまでの作業を新規に実施する予定であった.SignalRを用いることにより複数サーバ間の通信プロトコルはAPI内部に包含されるため,予定していたサーバ間の通信部分の開発を省略できることにより大幅な工数削減が可能になる.また,SignalR自体がクラウドサービスの利用を想定したものであるため,平成26年度に予定しているクラウドサービスを用いたシステム評価を前倒しして進められるようになると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
アーキテクチャを決定したため本年度は試作システムの開発を本格化させる.まず,システムのレスポンスアナライザとしての基本的機能を優先的に実装する.基本的機能の実装が完了した段階でクラウドサービス上で動作させるよう準備を行う.クラウドサービス上での動作を確認できた時点でシステムスケーラビリティの評価を行う.この際,Webアプリケーションのパフォーマンス測定ツールを活用するが, JMeterなどの既存ツールは使用できないのものと推測している.既存のパフォーマンス測定ツールはWebSocketに対応していないためである.現在,WebSocketに対応したWebアプリケーションのパフォーマンス測定ツールは実用的なものが存在していない状況である.本研究においては,簡易的な評価ツールを作成して,(1)出題者から回答者端末への問題転送時間,(2)回答者から出題者への応答時間と集計時間について,端末数やサーバ数を変えながら性能評価を行うことを検討している. また,基本的機能を実装した段階で実講義における試用も開始する.この際,あらかじめ本研究費で用意した端末と受講者の個人所有する端末が混在した状況で試用する予定である.こうすることにより,端末の種類,通信経路(Wi-Fiによる学内ネットワーク経由または3G/LTE回線経由)が混在した環境で実用に耐えうるかを検証できると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の物品購入の計画においては,試作システムを実講義で使用する際に学生へ貸与するための端末を20台程度購入する予定である.1講義で使用することを考えると20台では足りないが,不足分は前年度購入の開発用の端末や学生所有の端末を活用して対応する. また,学内Wi-Fi環境を使用できない教室において,これらの端末がスムーズにインターネットへアクセスできるようにするために,処理の能力の高い業務用のWi-Fiアクセスポイント及びルータ製品の購入を検討している. この他,クラウドサービスを使った試作システムの評価を行うためにサービス使用料が掛かる見込みである.サービス使用料については,ソフトウェアの開発環境と関連ソフトウェアがセットになったパッケージ製品を購入し,この製品に同梱されるクラウドサービス使用権を活用することで研究費の効率的な活用に務める.
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Research Products
(1 results)