2012 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の知識構造の推測に基づく日本語学習ナビゲーターの研究開発
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24700914
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
韓 東力 日本大学, 文理学部, 准教授 (10365033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換・アメリカ / 国際情報交換・中国 |
Research Abstract |
これまでの日本語学習支援システムには、ある学習内容に焦点を当てながら利用者全員に対して同じ方法で支援するものが一般的であり、個人差に注目しているものや一人一人の学習者の日本語レベルに特化した学習支援ができるものがほとんどない。本研究では、日本語学習者一人一人の日本語能力の違いや知識構造における微妙な個人差を細かく捉えた上でそれぞれの学習者の日本語能力に最も相応しい方法と内容で支援する仕組みを開発することを目的としている。24年度では、日本語の知識構造を文字、単語、文型、助詞、接続辞、活用、係り受け、敬語表現、慣用句表現、入力の速さなどの要素項目に分割した上で定めた。また、知識構造の各要素項目の細分化やそれらの数値化の方法も定めた。ただし、これらの要素で果たして日本語学習者の本当の知識構造を表せるのかという問題を深く議論する必要があるため、海外(アメリカと中国)にある研究機関において現地の専門家と幅広い意見交換を行った。本システムは汎用性の高いASP.net技術で開発し、25年度中にインターネットアプリケーションとして研究室のウェブサイト上にて公開する予定である。留学生を含む一般日本語学習者に自由に利用してもらえるため、一人一人のためだけに用意されるコンテンツとナビゲーターを提供するという今までなかったスタイルの日本語学習ツールを体験することが可能になり、日本語学習支援に関する研究分野においても新しい道を切り開くことに貢献することを期待している。24年度には、上述の各要素技術の研究開発を精力的に行いながら、国内外の学術会議や研究機関で積極的に研究成果を発表してきた。また、すでに講演日程が決まっている国際会議における研究発表1件と投稿に向けて現在原稿を執筆している国際会議における研究発表3件を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度当初は大学の派遣によりしばらく海外に出張していたため、その間は学内にある研究資源が一部使えなかったことが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の前半は1年目に完成しなかった要素技術を完成し、さらに各要素技術をもとに、日本語学習者の知識構造の推測に基づく日本語学習ナビゲーターシステムを構築する。各要素技術を同じプラットホーム上で連動させるため、モジュール間の連携プログラムの実装や各処理ごとの実行画面の設計などを中心に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これらの作業についても、研究代表者が全体の設計と実装を担うが、完成後に予定されているオンラインテストや実験結果の整理などの作業を当研究室に所属する大学院生によるアルバイトとして実施するため謝金を計上している。25年度の後半には、完成した学習ナビゲーターシステムを研究室のホームページから学内、そして一般へと順次公開し、留学生を含む一般日本語学習者に自由に利用してもらい、さらにその利用から生まれたフィードバックをもとにシステムの改良を重ねていく。また、システムのエンタテインメント性を高めるため、人工知能技術によるゲーミングに関連する学会へ出席し、情報収集を行うことも予定している。システムの実運用にあたり、ウェブ上の大規模なテキストコンテンツから適切な情報をリアルタイムで抽出したり、SVMなどの機械学習手法により抽出された情報の信頼度を計算するため、高性能の計算サーバを利用する予定である。最終年度には、本研究の成果を内外の学会で発表しながら、学術雑誌に投稿し社会に向けての情報発信を精力的に行う予定である。
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