2012 Fiscal Year Research-status Report
科学系博物館の調査研究活動の過程を携帯情報端末を用いて記録及び蓄積する手法の研究
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24700940
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
有田 寛之 独立行政法人国立科学博物館, 経営管理部, 係長 (70342938)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | デジタル・アーカイブ / webデータベース / 知的財産権 / メタデータ |
Research Abstract |
まず、本研究を遂行するにあたり、課題と目標をより明確にするための事例調査を行った。国立民族学博物館の研究者に取材を行い、博物館における資料の収集及び調査研究において長期に記録すべき情報について、写真や映像といった記録資料に関する知的財産権、位置情報、情報を研究者間で共有できるコメント機能等の必要性が明らかとなった。博物館の研究活動の社会への理解増進と、博物館の研究成果を生涯学習へ活用するための展示や学習センターの開発を進めている米国のスミソニアン国立自然史博物館における取材では、過去の研究者の調査記録のアーカイブ化、情報発信のプラットフォームとしてのソーシャルメディアの活用の重要性が明らかとなった。 次に、事例調査の結果を参考に、システム開発を行った。平成21~23年度科学研究費補助金(基盤C)「科学系博物館における資料の周辺情報のデジタル記録及び利用促進に関する実践的研究」において開発したデータベースを参考に、スマートフォンやタブレット端末を用いて、資料の収集、調査研究の過程におけるメモと写真を記録し、各種情報の公開範囲や著作権、記録された日時や場所などのメタ情報とともに保存できるwebデータベースおよび携帯情報端末のアプリケーションを開発した。データベースは各種OSのウェブブラウザに対応し、スマートフォンのアプリケーションはiOS及びアンドロイドの各OSに対応したものをそれぞれ開発した。 開発したシステムについて、国立科学博物館及び国立民族学博物館のスタッフが利用の流れに沿って体験しながら、調査研究活動の記録を行うための方策について検討を行った。その際、研究プロジェクトごと、あるいは時間軸によりデータを整理する機能、データの一括ダウンロード、GPS機能のついた機材で撮影した写真や映像のexif情報を抽出する機能等の必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、科学系博物館において収集された学術標本に関する調査研究のプロセスを、携帯情報端末を活用して学芸員が容易に記録し、蓄積できる仕組みを構築することである。学術標本に関わる学芸員の知識や経験がその個人だけのもので終わらず、「形式知」としてデジタル・アーカイブ化され、博物館における「調査・研究」や「展示・教育」に長期にわたって活用されることにより、社会の多くの利用者に流通するという「知の循環」システムの構築に寄与するとともに、博物館における「情報レスキュー」の枠組み構築の基礎となることを目指す。 平成24年度は、国立民族学博物館やスミソニアン国立自然史博物館の職員に取材を行い、調査研究のプロセスを記録しその情報を発信する方策について有益な情報を得た。また、実際のwebデータベース開発、スマートフォンやタブレット端末用のアプリケーション開発も行い、実際に運用可能な段階まで到達している。さらに、開発したデータベースやアプリケーションに関して、来年度の改善に向けた課題も明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における成果をまとめ、インターネットを活用した博物館情報の発信について研究を行っているMuseums and the Web の2013年大会(オレゴン州ポートランド)において発表し、国内外の博物館関係者と意見交換を行う。 前年度開発したシステムについて、これまでの試行及び関係者との意見交換から見いだされた改善点を明確にし、システム及びアプリケーションの改良を行う。 さらに、開発した改良版のシステムを用い、再び国立科学博物館及び国立民族学博物館のスタッフがモニターとなり、調査研究活動の記録を試行する。その際、昨年度からの改善点も含めた全体的な評価を行う。 最後に、本研究の成果を明確にし、学会等における発表や論文の投稿を行い成果を共有する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果の中間まとめのための研究成果発表海外旅費(25万) 前年度開発したシステム及びアプリケーションの改良(75万) 調査研究活動の記録の試行のための、端末レンタル費用、アンケート調査のための人件費(15万) 本研究の成果を明確にし、学会等における発表や論文の投稿を行うための研究成果発表国内旅費、論文投稿料、報告書印刷費(5万)
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Research Products
(2 results)