2013 Fiscal Year Research-status Report
広域微地形マッピングに基づく山体重力変形と活断層の相関関係の解明
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24700945
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 平太郎 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30415658)
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Keywords | 航空レーザー測量 / 山体重力変形 / 活断層 / 地理情報システム |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,航空レーザー測量データによるステレオペア地形表現図の作成,およびそれらの地形表現図の実体視判読による微地形(山体重力変形地形・活断層地形)の抽出・デジタル化を進め,研究対象地域全体のマッピングを一通り完了した.また,このマッピング結果に基づき,山体重力変形地形と地形・地質・活断層等の関係についてのGIS解析および多変量解析を行い,山体重力変形地形の分布密度に最も大きな影響を与えている要素は,地震動ではなく,活断層の活動による周辺地殻の静的な歪みであるとの予察的結果を得た.また,この予察的分析結果に対して学会発表等で受けた諸問題点について,その解決方法や解析の改良方法を検討した. 一方,春季および秋季に集中して,山体重力変形地形・活断層地形・せき止め湖堆積物等の現地調査を実施した.とくに,上記の微地形マッピングが当初予定よりも早く終了したため,平成26年度研究経費の一部前倒し請求を行って,予定よりも多くの現地調査を実施した.現地では,微地形マッピング結果を確認するとともに,一部においては,簡易ボーリング調査やハンドオーガー調査を実施した.また,採取した堆積物試料のテフラ分析,年代測定を実施し,山体重力変形や活断層地形の形成時期についての情報を得た. 以上の航空レーザー測量データを用いた地形判読および現地調査,堆積物分析により,根尾谷断層北端部に集中する山体重力変形地形群が後期更新世末期頃(最終氷期~後氷期)に形成されはじめたこと,これらの山体重力変形地形すべてが同時に形成されたわけではないこと,これまで正確に求められていなかった温見(ぬくみ)断層の左横ずれ平均変位速度が1.0~1.6 mm/yrであること等の新たな知見が得られつつある.ただし,以上の結果は,平成25年度までの分析結果に基づく予察的なものであり,今後のさらなる調査によって変更される可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
航空レーザー測量データの解析・判読は,当初予定より早く終了し,現地調査も当初予定よりも早いペースで進んでいる.しかしながら,山地重力変形地形のマッピング結果のGIS解析・多変量解析については,当初は想定していなかった問題点が学会発表等で指摘され,その解決および解析方法の改良のため,当初予定よりも時間がかかる見込みである.以上を総合して,現在までの達成度は「おおむね順調」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究地域内の山体重力変形地形・活断層地形マッピングは一通り完了したため,マッピング結果の精度向上,およびこれらの地形の形成時期解明のための現地調査を引き続き実施する.また,マッピング結果のGIS解析方法・多変量解析方法を改良して,最終的な結果として学会発表および論文発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前倒し支払い請求を行って追加の現地調査を実施したが,積雪期および年度末の繁忙期に入ってしまって,一部の予算を使い切ることができなかったため. 次年度の調査旅費および必要物品の購入として使用する.
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Research Products
(8 results)