2014 Fiscal Year Annual Research Report
広域微地形マッピングに基づく山体重力変形と活断層の相関関係の解明
Project/Area Number |
24700945
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 平太郎 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30415658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 航空レーザー測量 / 山体重力変形 / 活断層 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに完了した越美山系全域の山体重力変形地形マッピングについて,その結果解析を引き続き実施した.山体重力変形地形の分布密度に活断層の活動による周辺地殻の静的な歪みが影響を与えているという昨年度までの予察的結果に変化はないが,より説得力のある解析方法や結果提示を検討した.一方,昨年度に引き続き,春季および秋季に集中して,山体重力変形地形・活断層地形等の現地調査を実施した.現地では,マッピング結果を確認するとともに,一部においては,ハンドオーガー調査・ピット掘削調査等を実施して,山体重力変形地形や活断層地形の形成・成長時期についての情報を得た.とくに,根尾谷断層北端部に集中する山体重力変形地形群については,昨年度までの調査で,これらの地形が最終氷期末期以降に形成されはじめたことやより新しい時代(完新世後期)に形成されたものもあることが明らかになっていたが,今年度の調査により,少なくとも一部の重力性低崖は,完新世に複数回成長していることも明らかとなった. 3年間にわたる本研究によって,越美山系には,従来の空中写真判読では認識できない植生下の山体重力変形地形が普遍的に存在し,重力性低崖の総数は1万以上,総延長約714 km,平均分布密度(線密度)は1 km2あたり0.87 kmに達することが明らかとなった.また,同地域の山体重力変形地形の分布密度は,地形の影響とともに活断層の影響,とくに断層の活動による周辺地殻の静的な歪みの影響を大きく受けていることが示唆された.現地調査によって明らかになった地形の形成時期も勘案すると,最終氷期から完新世にかけての気候変動,とくに降水量増加による下刻の進行が山体重力変形発生のための前提条件を準備するとともに,この条件に活断層運動の影響が加わることによって現在の山体重力変形へと発達してきたことが示唆される.
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Research Products
(5 results)