2012 Fiscal Year Research-status Report
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24700950
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
花岡 和聖 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (90454511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 犯罪地理 / 地理情報システム / 空間分析 / 近隣 / 大阪市 |
Research Abstract |
本研究は、人の移動からみた近隣環境の動態性に着目し、犯罪発生地点の時空間的変化やホットスポットの維持過程を定量的に解明することである。 本年度は、上記の研究目的に沿った形式で次の通り研究を実施した。第一に、犯罪学や犯罪地理学、格差、地理情報システムの活用に関わる国内外の既往研究を収集し、犯罪発生の地域差を規定する物理的環境や近隣環境からの影響評価に関する成果を整理した。第二に、①街頭・侵入犯罪資料として、大阪府警が大阪府民に対して無料で配信する「安まちメール」情報からひったくり犯罪に関するメールを抽出した。それに対してアドレスマッチングを行い住所情報を経緯度に変換し、犯罪発生に関する地理空間データを整備した。次に、②『流動人口統計データ』(ゼンリンデータコム作成)を地理情報システムで操作可能な形式に変換した。その上で、時間帯別メッシュ別滞留人口をクラスタリングすることで、大阪市内の滞留人口の時空間プロファイルを把握した。①と②で得られた地理空間データを重ね合わせ空間解析を行うことで、滞留人口からみた地域特性と犯罪発生パターンとの関連性を検討した。第三に、犯罪を説明しうる各種統計データの整備及び空間的マイクロシミュレーションを用いた格差指標の作成を行った。これらの小地域単位での社会経済指標を追加し、犯罪発生の近隣環境及びその動態性のさらなる検討を次年度に進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要で示した通り、①既往研究の整理、②犯罪の地理空間データベースの構築、③滞留人口からみた時空間プロファイルの作成、④各種の小地域指標の作成を実施し、当初の研究計画で意図した成果を得られたことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、第一に文献レビューの成果を踏まえて、町丁目別犯罪発生件数を被説明変数に、物理的環境や近隣環境を説明変数とする回帰モデルを構築し、各変数の影響を統計的に検討する。第二に、空間スキャン統計などの高度な空間解析手法を用いて、犯罪のホットスポットに関して、その生成プロセスにおける近隣環境からの影響を把握する。第三に、日本版総合的社会調査や大阪府での社会調査の成果と接合し、犯罪発生パターンと近隣環境の動態性、さらに社会・経済状況を加味した包括的な分析を目指す。以上の研究成果を整理し、国内外の学術雑誌に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、研究成果を整理し研究発表を行うため、旅費や英文校閲、論文印刷等に研究費を使用する予定である。日本地理学会(東京)及び地理情報システム学会(東京)での成果発表を予定する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A spatial microsimulation approach to small area income estimation in Britain and Japan2012
Author(s)
Ballas, D., Campbell, M., Clarke, G., Hanaoka, K., Nakaya, T. and Waley, P.
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Journal Title
Studies in Regional Science
Volume: 42-1
Pages: 163-187
DOI
Peer Reviewed
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