2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト小児神経芽腫の病態に類似する新たな神経芽腫マウスモデルの解析
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24700957
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
末永 雄介 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 研究員 (80581793)
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Keywords | N-CYM / MYCN / p63 / Neuroblastoma / De novo gene birth / cis-antisense gene / De novo evolved protein / transgenic mouse |
Research Abstract |
我々はこれまでにがん遺伝子MYCNのアンチセンス遺伝子であるN-CYMがタンパク質をコードし、神経芽腫悪性化に関わることを示してきた。昨年度はMYCN/N-CYM double Tgマウスを作成し、従来のマウスモデルであるMYCN tgマウスに比べ有意に遠隔転移率が上昇することを示した。本年度は、N-CYMによる転移促進の分子メカニズムを調べることを目的とした。 これまでの研究から、ヒト神経芽腫細胞株において、N-CYMがMYCNタンパク質を安定化すること、MYCNの安定性を制御するGSK3betaがN-CYMと結合することが示されていた。そこで、MYCN/N-CYM tgマウスの神経芽腫組織を用い、N-CYMとGSK3betaの結合を免疫沈降法で検討したところ、N-CYMと内在性GSK3betaは結合した。また、MYCNタンパク質の安定化にともなって、GSK3beta S9のリン酸化が上昇し、不活性化されていることが示された。さらに、GSK3 betaの上流制御因子であるS6Kのリン酸化がGSK3beta S9のリン酸化と相関し、mTOR-S6K経路の活性化がGSK3betaの不活性化を介して、MYCNを安定化することが示唆された。また、MYCN tgマウスに比べMYCN/N-CYM tgマウス由来の腫瘍はCleaved Caspase-9陽性細胞が少く、アポトーシスが阻害されていた。これらの結果から、N-CYMはGSK3betaを阻害することでMYCNを安定化するとともに、mTOR-S6K経路を活性化することによりアポトーシスを阻害し、転移促進に寄与する可能性が示された。本研究の成果はPLOS GENETICS誌に受理され、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
N-CYMによる転移促進の分子メカニズムの一端を明らかにし、論文掲載に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
N-CYMによるMYCNタンパク質安定化機構を検討する実験において、予期せず、NCYMがMYC-nickの産生を促進することを見いだした。MYC-nickはMYCNおよびc-MYCがcalpainにより切断されることで産生され、大腸がんにおいてがんの悪性化に寄与することが示されている。そこで、次年度はMYC-nick産生におけるN-CYMの役割について調べる目的で、分子生物学的な研究を行う。 I. N-CYMがMYC-nick産生を直接的に促進するかを検証するため、精製タンパク質を用いたin vitro cleavage assayを行う。 II. N-CYMによるMYC-nick産生の意義を検討するため、神経芽腫細胞株を同調させ、細胞周期ごとにN-CYMおよびMYC-nickの発現量を調べる。 III. MYCN/NCYM TgマウスにおけるMYC-nick発現量をWestern blotting法により検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に試薬(抗体)を購入する必要性が生じたが、残額では足りなかったため、次年度に使用することにした。 次年度使用額は当該抗体購入の費用とする予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] NCYM, a Cis-Antisense Gene of MYCN, Encodes a De Novo Evolved Protein that Inhibits GSK3-β resulting in the Stabilization of MYCN in Human Neuroblastomas2014
Author(s)
Yusuke Suenaga, S.M. Rafiqul Islam, Jennifer Alagu, Yoshiki Kaneko, Mamoru Kato, Yukichi Tanaka, Hidetada Kawana, Shamim Hossain, Daisuke Matsumoto, Mami Yamamoto, Wataru Shoji, Makiko Itami, Tatsuhiro Shibata, Yohko Nakamura, Miki Ohira, Seiki Haraguchi, Atsushi Takatori, and Akira Nakagawara
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Journal Title
PLOS GENETICS
Volume: 10
Pages: e1003996
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] NCYM, a cis-antisense gene of MYCN, is a TAp63 target gene that encode a de novo evolved protein stabilizing MYCN in human neuroblastoma
Author(s)
Yusuke Suenaga, S.M. Rafiqul Islam, Jennifer Alagu, Mamoru Kato, Yukichi Tanaka, Hidetada Kawana, Shamim Hossain, Daisuke Matsumoto, Mami Yamomoto, Wataru Shoji, Makiko Itami, Tatsuhiro Shibata, Yohko Nakamura, Miki Ohira, Seiki Haraguchi, Atsushi Takatori and Akira Nakagawara
Organizer
6th p63/p73 International Workshop
Place of Presentation
木更津
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