2012 Fiscal Year Research-status Report
新規大腸発がん再構成モデルを用いた炎症による発がん促進機構の解析
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24700959
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小沼 邦重 鳥取大学, 医学部, 助教 (90597890)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Research Abstract |
大腸発癌のリスク要因には,肥満に随伴する慢性炎症や炎症性腸疾患がある.加えて,ヒト疫学調査によると非ステロイド性抗炎症剤の投与は,大腸発癌を抑制すると報告されている。このように、炎症は大腸発癌の要因と推測されるが,発癌に直接繋がる具体的な分子機構に関してはいまだに不明な状況にある。申請者は正常マウスから摘出した腸管上皮細胞を用いて,簡便かつ短期間内に腸管上皮オルガノイドを形成する3D培養モデルを確立した。本年度は、種々のshRNAの導入等によって遺伝子変化を賦与させた腸管上皮細胞の発癌性を検討した.特に炎症細胞を存在させた際に,如何なる遺伝子変化を有する腸管上皮細胞が癌化に向かうのかを検討した.導入した遺伝子変化は,shp53、shAPCおよびpLKO.1(ベクター対照)であった.炎症細胞は,止血用ゼラチンスポンジ(10×5×3mm)を正常C57BL/6マウス腹腔内に移入後5日目の浸出細胞を回収して使用した.遺伝子変化を導入した腸管上皮細胞単独もしくは,これら腸管上皮細胞と炎症細胞を3時間共培養させた。炎症細胞刺激の後,いずれの細胞も約2週間にわたり維持培養した後にマウス皮下に移植して腫瘍増殖(発癌)の有無を検討した。その結果、shp53およびpLKO.1を導入した腸管細胞は,炎症細胞刺激の有無に関わらず皮下増殖しなかった.しかしながら、shAPCを導入した腸管細胞では,それ単独で皮下増殖した.さらに、shAPC腸管細胞を炎症細胞と共培養すると、腫瘍増殖が有意に促進された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画に則り,計画実験を遂行し概ね終了することができた.すなわち,炎症刺激により発癌に至る遺伝子変化(APC遺伝子)を決定した.加えてp53遺伝子変化のみでは発癌に至らないことも見出した.さらにp16Ink4a、SMAD4、PTEN, K-Ras,Fbwx7の各遺伝子発現を変化させても発癌しないことを確かめた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究実施計画が概ね計画通りに遂行したことより,平成25年度には当初の研究実施計画に則り,炎症細胞による腫瘍増殖促進機構を解析し、炎症発癌の予防・治療標的となる分子候補の探索に移行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究は概ね計画通りに進捗し,目的相当の成果を得たことから,平成25年度には当初計上の研究費明細に則り,1)炎症細胞による腫瘍増殖促進の分子機構の解析を進め,2)得られる成果を取り纏めて国際専門雑誌への投稿を行う.次年度の研究費は,当該2項目の遂行に使用する.
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Research Products
(1 results)