2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着の安定化を用いたヒトがん細胞の直接浸潤抑制の研究
Project/Area Number |
24700962
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
栗山 正 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30398226)
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Keywords | 集団的細胞移動 / がん / MMP |
Research Abstract |
細胞シートの変形・移動・浸潤を可能にする機構を解明するべく、肺がん由来細胞からLipoma preferred Partner (LPP)遺伝子をノックダウンしたことによって出来た高接着細胞の移動・浸潤能の変化を調べた。まず、LPP分子をノックダウンすると肺がん細胞PC14PE6においてN-cadherinの発現が上昇した。これを詳細に解析すると、親株においてN-cadherinのmRNA発現は見られるものの翻訳後修飾により切断されており、LPPのノックダウンによってなんらかのN-cadherin切断因子が抑制されていることが分かった。LPPがEts variant転写因子(Etv)と協調して働くことが予想されていたので、肺がんにおけるEtv転写因子群を同じく遺伝子機能阻害によって絞り込んだところ、Etv5遺伝子の阻害がLPP機能阻害とよく似た表現形を示すことを明らかにした。LPP,Etv5の両者によって発現が変動するタンパクがおそらくN-cadherinの制御因子であることが考えられたため、様々な因子の発現を調べた。その結果、MT2-MMPが協調的に制御されていることを見出した。これら遺伝子をノックダウンした結果、N-cadherinの上昇によって細胞は集団化する。次にこの細胞集団の移動能や浸潤能を解析した。がんに付随してがんの機能を制御することで知られているCAF(Cancer Assciated Fibroblast)を用いたコラーンゲル浸潤アッセイを行った。すると集団はむしろ強く浸潤することが分かった。これを確かめるためにヌードマウスの肺に直接がん細胞を接種することで集団の移動・浸潤能を調べた。肺がんの原発巣の広がりやすさや反対の肺への転移を指標に評価したところ、やはり長距離を移動できる集団としての移動能が上昇しているという結果になった。これらの情報をまとめ、論文に投稿した。
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