2012 Fiscal Year Research-status Report
SHP2によるparafibrominの脱リン酸化を介した発癌分子機構の解析
Project/Area Number |
24700965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 昌史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00624496)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | チロシンリン酸化 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
parafibrominチロシン脱リン酸化の発がんへの関与を明らかにする為に、ラット由来RK3E細胞にチロシンリン酸化耐性型(Y290、293、315F)parafibromin分子を発現させた。チロシンリン酸化耐性型parafibrominを一過性に発現する細胞が、細胞ー細胞間接触による増殖阻害から逸脱する結果は現在までに得られていない。実験条件の改善を進めるとともに、足場非依存的な増殖能の測定など他の悪性形質転換実験系を用いて解析を行う。 チロシン脱リン酸化型parafibrominを機能模倣する機能獲得型parafibromin変異の探索に関して、既知の疾患由来の変異の中からparafibrominの機能への影響が同定されていない数種類の変異を選出した。それぞれの変異parafibrominの発現ベクターをクローニングし、これをヒト培養細胞に発現させ免疫沈降実験を行った。その結果、チロシンリン酸化耐性型parafibrominと同様に著しく強いbーcatenin結合能を持つ変異体の同定に成功し、この新規変異型parafibrominがチロシンリン酸化耐性型parafibrominと同様にWnt経路を構成的に活性化することを明らかにした。 parafibrominを基質とするチロシンキナーゼの同定に関して、核内分布が報告されているチロシンキナーゼの発現ベクターを哺乳動物培養細胞に導入したところ、parafibrominのY290、Y293、Y315におけるリン酸化レベルの亢進が見られた。このキナーゼ発現が引き起こすparafibrominのチロシンリン酸化の亢進は、SHP2ホスファターゼの一過性共発現によって減弱することから、このチロシンキナーゼはparafibrominのY290、Y293、Y315のリン酸化に関してSHP2と拮抗関係にあることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に設定した平成24年度の研究計画3項目(研究実績の概要に記載)のうち、2項目についてほぼ順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時に作成した平成25年度の研究計画に基づいて推進しながらも、予想外の解析結果などにより必要に迫られた場合には研究計画に非記載の解析も新規に取り入れ、本研究課題の目的の達成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請時に作成した平成25年度における研究費使用計画を基本とし、研究目的の達成に向けて効率良く適切に使用する。
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