2013 Fiscal Year Annual Research Report
SHP2によるparafibrominの脱リン酸化を介した発癌分子機構の解析
Project/Area Number |
24700965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 昌史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00624496)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / タンパク質チロシンリン酸化・脱リン酸化 / Wntシグナル経路 / Hippoシグナル経路 |
Research Abstract |
SHP2による核内基質Parafibrominのチロシン脱リン酸化が、発がんに関与するWntシグナル経路の活性化に必須の役割を担うことが示されてきた。SHP2は細胞質および核内に分布することから、SHP2の核内移行メカニズムの解明がParafibromin-Wnt経路の制御機構を明らかにすると考えられた。 平成25年度の研究実績 SHP2の細胞内分布が高密度培養環境では細胞質局在を示す一方で、低密度培養環境では核内分布を示すことを見出した。細胞密度の変化に応答した細胞増殖制御を担うHippoシグナル経路関連分子の関与を検討した結果、Hippo経路の転写共役分子YAP/TAZが細胞内でSHP2と複合体を形成することを明らかにした。種々の欠損変異分子を用いた解析から、SHP2およびYAP/TAZ分子内に存在する複合体形成に関わる領域を特定した。YAP/TAZは細胞密度変化に応答したHippoシグナルによる制御を受け、SHP2と同様に高密度環境では細胞質に分布し、低密度環境では核内に集積する。細胞密度依存的なSHP2の細胞内分布変化は、YAP/TAZの発現抑制および核内集積型TAZ改変分子の発現によって喪失した。TAZの一過性の発現は、Wnt標的遺伝子の転写活性化を引き起こした一方で、SHP2あるいはParafibrominの発現抑制はTAZ依存的なWnt標的遺伝子の活性化を抑制した。 一連の結果から、SHP2は細胞密度に応答して核内移行するYAP/TAZと複合体を形成し、これらを核内移行のキャリアーとして利用することで、Parafibrominのチロシン脱リン酸化を介したWnt標的遺伝子の活性化を惹起することが示された。 (Tsutsumi R, Masoudi M, Takahashi A, et al, Dev. Cell (2013))
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[Journal Article] YAP and TAZ, Hippo Signaling Targets, Act as a Rheostat for Nuclear SHP2 Function.2013
Author(s)
Ryouhei Tsutsumi, Mohammad Masoudi, Atsushi Takahashi, Yumiko Fujii, Takeru Hayashi, Ippei Kikuchi, Yumeko Satou, Masanori Taira, and Masanori Hatakeyama
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Journal Title
Developmental Cell
Volume: 26
Pages: 658-665
DOI
Peer Reviewed
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