2013 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌幹細胞およびニッチにおけるEGFシグナル伝達制御の解析
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24700968
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 アンナ 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30615159)
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Keywords | がん幹細胞 / 乳がん |
Research Abstract |
がん幹細胞の維持にEGFシグナルやFGFシグナルが重要であると言われているが、未解明な部分も多い。本研究は、EGFやFGFに加え、iPS細胞において幹細胞性の維持との関わりが示唆されているTGF-bをはじめ、さまざまなシグナルに着目し、幹細胞様の性質との関わりについて明らかにすることを目的として行った。がん幹細胞様の性質を評価できる実験系として、スフィア培養がある。TGF-bは乳がんにおいて、上皮―間葉転換に関わり、転移を促進していると言われている。この上皮―間葉転換ががん幹細胞の維持に関わっているという報告がある。これを踏まえ、TGF-bで上皮―間葉転換を起こすことが知られているマウス乳腺上皮細胞であるNMuMG細胞を用い、スフィア培養を行ったところ、TGF-b刺激下でスフィアの数が増加し、サイズが大きくなった。またTGF-b阻害剤であるSB431542の添加により、スフィアの数が減少した。このことから、TGF-bシグナルはがん幹細胞の数にも、娘細胞の増殖にも関与している可能性が示唆された。NMuMG細胞でTGF-b刺激を行うと発現が著しく増加する転写因子としてZEB1とZEB2がある。当研究室からZEB1/ZEB2によって発現が抑制されている因子としてESRPを報告している。ESRPは上皮系の細胞で発現しているスプライシング制御因子である。ESRPは各種がんの予後との関わりが報告されているが、がん幹細胞との報告はわずかである。また、ESRPの制御については、ZEB1やTwistによる転写抑制の報告しかない。そこで、ESRPの制御について検討を行い、ESRPがタンパク質レベルで機能制御されている可能性を示唆するデータを得た。ESRPはさまざまな分子のスプライシングに関わる重要な因子であり、がん細胞における選択的スプライシングの機序解明の糸口となるデータを得ることができた。
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Research Products
(3 results)