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2012 Fiscal Year Research-status Report

骨髄異形成症候群におけるトランスクリプトーム解析による分子病態の解明

Research Project

Project/Area Number 24700970
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

佐藤 亜以子(松原亜以子)  東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (70512573)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsトランスクリプトーム / 骨髄異形成症候群
Research Abstract

我々は、骨髄異形成症候群(MDS)の原因遺伝子変異として「スプライシングパスウェイ変異」を報告した。従来MDSにおいて報告されてきた変異は他の骨髄系腫瘍でも認められる変異であるが、スプライシングパスウェイ変異はMDS特異的かつ高頻度に認められる。本研究ではこれらの遺伝子変異により惹起されるスプライシング異常を検証することで、MDS発症の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。
具体的には、MDS で高頻度に異常が確認されたスプライシング関連遺伝子(U2AF35,ZRSR2,SRSF2)について、変異体を導入した細胞の全RNA の高速シーケンス解析を行う。
今年度は既にこれまで得られているU2AF35のデータに加えて、SRSF2の変異発現等を行った細胞の全RNAシーケンスを行った。また、RNA シーケンス技術を用いて残存イントロンなどのスプライシング異常を検出する既成のスタンダードな方法が存在しないため、全遺伝子を対象に異常を検出する解析方法を検討し、そのうえで、それぞれの変異体導入株のスプライシング異常を検出した。
その結果、数種類のパターンに分類されるスプライシング異常が変異体導入株において増加していることが確認された。さらに、今年度はMDS検体についても全RNAシーケンスを行い、これらのスプライシング異常を検討した。25年度は、引き続きMDS検体のデータを得た上で、細胞株のデータと総合して、共通の遺伝子やパスウェイに発生するトランスクリプト異常、それぞれの遺伝子異常に特徴的なトランスクリプト異常を割り出し、MDS病態を説明することを目標としたデータ解析を継続する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

変異体導入細胞のシーケンスについては、既にU2AF35をHeLa細胞で誘導発現し全メッセンジャーRNAの高速シーケンス(Illumina)が実施済みであった。そこで、今年度はさらに、他の遺伝子変異を導入した細胞が作製されたため、それらについて、全RNAシーケンスを実施した。
次に、これらのデータを用いて異常検出方法を検討した。読まれた配列がゲノム上のどの位置の配列であるか決定する(マッピング)方法は、従来使用していたツールに代わり、共同研究により開発された全RNAシーケンス解析ツール’genomon-fusion’のパイプラインに変更を行い、より異常トランスクリプトの検出に適したマッピングが可能となった。また、全RNA シーケンスデータを用いて残存イントロンなどによるスプライシング異常を検出する既成のスタンダードな方法は存在しない。そのため、全遺伝子を対象にグローバルに異常レベル数値化し検出する解析方法を構築した。この方法では、1)イントロン残存に加え、2)必須なエクソンが落ちてしまうパターン3)イントロン内に新規エクソンが出現するパターン4)エクソン末端がイントロン方向やエクソン方向へずれるパターン などを別個に検出することが可能となった。この方法を用いて、それぞれの変異体導入株のスプライシング異常を検出した結果、上記に分類される異常パターンに増加を認める遺伝子が、多数存在することが確認された。
さらに、今年度はMDS検体についても全RNAシーケンスを行い、同様に異常を検討した。
全体を通じて、今年度中に行った研究により、次年度の解析へむけてデータ取得と解析技術の検討がかなり進んでおり、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

全転写産物に対するシーケンス解析により、スプライシング変異分子が存在することで、大量の領域が影響を受け異常RNAが生みだされていることがわかった。スプライシング変異体に結合している遺伝子はさらに多いことが予想されるため、当初予定していたRIPシーケンスによる結合RNA予測については一旦中断し、別途MDS検体の全シーケンスにより、実際のMDS検体内で生じている共通の異常を割り出す解析を行う。細胞株のデータと実検体のデータを元に共通の遺伝子もしくはパスウェイにRNA異常が発生していないか、またそれぞれの遺伝子異常に特徴的な異常トランスクリプトがないか、等を検討する予定である。また、MDS検体を解析する際には、個体間の差を考慮する必要があるため複数サンプル対複数サンプルで異常レベルの比較を行う。今後、MDS検体についてもグローバルに比較できる解析方法を検討する予定である。
25年度は上記のようなデータ解析技術開発とそれに続くデータ解析により、MDS病態を説明することを目標とし、データ解析を継続する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

各変異体で共通の異常RNAの発生・経路を検討するために、MDS検体のRNAシーケンスを継続する。そのために、引き続きシーケンス試薬・関連試薬を購入する予定である。

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Published: 2014-07-24  

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