2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期と協調した上皮極性の形成維持機構とその破綻に伴う発がん
Project/Area Number |
24700980
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊池 浩二 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (70457290)
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Keywords | 細胞運動 / 前後極性 / 上皮極性 / 微小管動態 / MAP7ファミリー / Wnt5aシグナル / Dvl2 |
Research Abstract |
細胞極性の形成・維持機構は、動物発生における組織や器官形成に必須であり、また、細胞極性の破綻は発がんやがんの悪性化における重要な要因となりうる。本研究は、私共のこれまでの研究成果(プロテオミクス解析による新規微小管結合蛋白質の網羅的な同定)に基づき、「細胞極性の形成・維持機構における微小管動態の役割」について、その詳細な分子機構の解明を目的としている。 前年度までに、MAP7ファミリーに属する蛋白質、Map7とそのパラログであるMap7D1が細胞運動時の前後極性に関与することを見出し、さらに、Map7とMap7D1が細胞運動時において微小管-アクチン骨格との相互作用を制御するWnt5aシグナル経路の構成因子のひとつであるDvl2と複合体を形成することを見出した。本年度はその詳細な分子機構と上皮極性を伴った嚢胞形成におけるMAP7ファミリーの機能を明らかにすべく解析を行い、以下の知見が得られた。(1)Map7の欠失変異体を用いた解析から、アミノ末端側に存在するコイルドコイル1領域を含む89-246アミノ酸領域がDvl2との結合に必要であることがわかった。(2)Dvl2の欠失変異体、及び、点変異体を用いた解析から、平面内細胞極性の形成に必須であるDvl2のDEP領域に存在するループ構造がMap7との結合に必要であること、さらに、Dvl2のリン酸化がMap7との結合に必要であることが示唆された。(3)Map7とMap7D1はWnt5a依存性のDvl2のリン酸化には必要なかった。(4)3次元培養により上皮極性化した細胞において、Map7とMap7D1はDvl2と同様に頂端部側に局在し、さらに、ノックダウン細胞を用いた解析から、Map7とMap7D1が上皮極性を伴った嚢胞形成に必要であることを見出した。以上の結果から、Map7およびMap7D1がDvl2の下流で機能することにより細胞極性の形成に関与する事が示唆された。
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Research Products
(6 results)