2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700987
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
瀧田 守親 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80533455)
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Keywords | タンパク質分解 |
Research Abstract |
本年度は紫外線(UV)照射によるC1Dタンパク質の分解機構に関与するE3リガーゼやC1Dにより発現が制御される分子の同定を行った。また、慢性骨髄性白血病(CML)の病因遺伝子産物であるP210BCR-ABLのC1D分解への関与を調べた。 UVによるC1D分解に関与するE3リガーゼを同定するため、HeLa細胞にCul4AのsiRNAを導入したところ、UV照射によるヌクレオソームのC1D分解はCul4Aのノックダウンにより抑制された。また、CHIPの遺伝子欠損マウス(KO)由来胎仔線維芽細胞(MEF)を用い同様に検討した。その結果、野生型マウス(WT)由来MEFではUVによりC1Dが分解されたが、CHIPKO由来MEFではUVによるC1D分解はWT由来MEFに比べ抑制されていた。従って、UVによるC1D分解に関与する実行分子としてCul4AとCHIPの関与が示唆された。 C1DのsiRNAを導入したHela細胞ではUVによるIL-8、CHOPのmRNA発現が対照に比べ亢進していた。従って、これら分子はC1Dにより発現が制御されることが示唆された。 P210BCR-ABLはUVと同様にDNA損傷を引き起こし、ATM/ATR経路を活性化する。そこでP210BCR-ABLのC1Dの分解への関与をP210BCR-ABL発現Rat-1細胞を用いて調べた。その結果、P210BCR-ABL発現Rat-1ではヌクレオソームのC1Dが対照のRat-1に比べ、著しく減少していた。従って、P210BCR-ABLの C1D分解への関与が示唆された。 P210BCR-ABLの関連実験として、P210BCR-ABLの発現によりカスパーゼ-1が活性化されることを見出し、研究成果は第2回新学術領域 自然炎症+脂質マーシナリー合同若手ワークショップ(徳島県鳴門市)で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はC1Dの基礎解析としてUV照射によるヌクレオソームのC1D分解に関与するユビキチンE3リガーゼを同定するため、遺伝子ノックダウンおよび遺伝子欠損マウス由来細胞を用いた実験を行い、Cul4AおよびCHIPを同定することが出来た。C1Dの遺伝子ノックダウン実験により、C1Dにより発現が制御される分子としてIL-8、CHOPを同定することができた。また、P210BCR-ABLはUV照射と同様にヌクレオソームのC1Dの分解を引き起こすことを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次の通りである。(1)P210BCR-ABL発現Rat-1細胞においてプロテアソーム阻害剤のMG132の前処理を行い、C1Dタンパク質の分解が抑制されるか否かを検討する。また、P210によるC1Dの分解に関与するE3リガーゼを同定するため、CHIPのsiRNAを用いたノックダウン実験により、P210によるC1Dの分解が抑制されるか否かを調べる。P210BCR-ABL がUV刺激と同様にIL-8、CHOPのmRNA発現を亢進するか否かを定量的PCR法により調べる。(2)癌の転移や転移前炎症性変化におけるC1Dの関与について、in vivoではB16細胞の尾静脈移入による転移モデルと皮下移植による転移前モデルを用いて解析する。一方、in vitroではB16細胞とマクロファージとの共存培養系を用い、C1Dにより発現が制御される分子の同定を行う。(3) 当初C1Dは転写を活性化する因子と想定していたが、実際にはIL-8やCHOPなどの転写の抑制因子であることが判明したため、C1DのデコイDNAによるC1Dの機能阻害は創薬の観点から適当ではない。そこで研究計画を変更し、C1Dの組換えタンパク質を作成し、この組換えC1Dの細胞への導入により癌の転移や転移前炎症が抑制されるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費が生じた状況として抗体などの高額な物品を購入することができず、次年度に使用することが極めて適当と判断した。 次年度の研究費の使用計画として、生化学試薬(抗体など)の購入を予定している。
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Research Products
(1 results)