2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700988
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
萩倉 一博 日本大学, 医学部, 研究員 (20613269)
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Keywords | 脂肪細胞 / がん微小環境 / 血管新生 / 壁細胞 |
Research Abstract |
本研究は、がん微小環境における脂肪細胞の脱分化と腫瘍血管新生メカニズムを解明する事を目的に行った。まず最初に、脂肪細胞の脱分化に対する、がん微小環境におけるがん細胞の上皮間葉移行現象(EMT: Epithelial mesenchymal transition)の影響を確認するために、EMTを起こさせたマウス乳腺上皮細胞(NMuMG)とマウス脂肪細胞の共培養実験を行った。するとEMTを起こしたNMuMGからの液性因子により、マウス脂肪細胞の脱分化が促進する事が確認された。次に血管内皮細胞の存在下で脱分化脂肪細胞(DFAT)の遊走能を評価したところ、血管内皮細胞から分泌される液性因子によりDFATは血管壁に遊走し管腔表面に接着する事を確認した。またDFATと血管内皮細胞を共培養したところ、DFATは血管壁細胞のマーカーであるNG2を強発現することが確認された。以上より、がん微小環境において、EMTを起こしたがん細胞からの刺激により周囲の脂肪細胞は脱分化を起こし、血管新生因子を放出して腫瘍血管新生を促進した後、新生血管の血管壁に遊走、接着して血管の成熟化に関与することが示唆された。そこで最終年度には、実際にマウス皮下にがん細胞とDFATを移植し、腫瘍容積と腫瘍血管新生、遠隔転移について評価を行ったが、DFATの存在の有無で明らかな差は認めなかった。現在、脂肪細胞特異的にGFPを発現するマウスにがん細胞を皮下注射し、腫瘍周囲でがん関連繊維芽細胞に分化したDFATの検出を行っているところである。 本研究の結果は、がん微小環境における脱分化脂肪細胞の役割の解明と、今後のがん微小環境を標的とした治療戦略を構築する上で非常に意義があったと考える。尚、この研究成果は第18回国際血管生物学会で報告し、多くの海外研究者と情報交換し、更なる海外施設との共同研究のきっかけにする事ができた。
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Research Products
(4 results)