2013 Fiscal Year Annual Research Report
PTPRZ1による肺小細胞がん幹細胞維持および分化の分子制御機構解明
Project/Area Number |
24700990
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
牧野嶋 秀樹 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 研究員 (30510573)
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Keywords | フォスファターゼ / チロシンリン酸化 / がん幹細胞 / 肺小細胞がん / 分子標的療法 |
Research Abstract |
肺小細胞がんは肺がん患者全体の15%程度であるが、増殖・進行が速く、早期に全身転移をきたす予後不良な疾患である。肺小細胞がんに対する治療薬の選択数は少なく、30年前に比べて新たな薬剤は開発されず、治療後の再発や治療抵抗性が未だに大きな課題となっている。化学療法や放射線療法に抵抗する特性を保持するがん幹細胞を単離し、肺小細胞がん幹細胞の特徴を解明して分子基盤を構築することは、新たな治療法の開発につながると期待される。 受容体型チロシンフォスファターゼPTPRZ1は肺小細胞がんで高率に発現し、マウス移植モデルにおいて肺小細胞がんの腫瘍形成に重要であり、肺小細胞がん幹細胞の新規機能性マーカーになりうる可能性を見出した。そこで、PTPRZ1を機能性幹細胞マーカーとして細胞を単離し、肺小細胞がん幹細胞の維持・増殖・分化に関与するチロシンリン酸化を介したシグナル伝達経路におけるPTPRZ1の機能の解明を目指した。研究の目的および平成25年度の研究実施計画に従い実験し、現在までに以下の知見を得た。 PTPRZ1を標的にフローサイトメトリーとマグネットビーズカラムを用いて、肺小細胞がん細胞を分離・回収し、PTPRZ1+とPTPRZ1-細胞がそれぞれがん幹細胞および非幹細胞の特性を保持しているのか検証した。その結果、PTPRZ1の発現量に依存して細胞が分画できたが、シングルセルの状態で単離した肺小細胞がん細胞は培養不可能であった。単離直後の細胞を用い、遺伝子発現およびタンパク質発現の解析も試みたが、肺小細胞がん幹細胞の特性同定には至らなかった。細胞培養器に接着性の肺小細胞がん細胞株も使用したが、PTPRZ1が高発現している細胞株は少なく、細胞の単離・分離が難航した。これらの研究成果は、平成25年12月第36回日本分子生物学会(神戸)にてポスター発表を行った。
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Research Products
(1 results)