2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗HSP90抗体を用いた抗腫瘍免疫療法の基盤研究
Project/Area Number |
24700992
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水上 修作 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00508971)
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / ワクチン / アジュバント / モノクローナル抗体 / 細胞膜表面 |
Research Abstract |
我々が得た抗HSP90(heat shock protein 90)抗体(6H8)は、細胞質に局在すると考えられた抗原提示細胞(APC:antigen presenting cell)HSP90を細胞膜表面において認識可能であった。そのため6H8と抗原の複合体を作製して投与したところ優れた免疫効果が認められた。また驚くことに同複合体と6H8単体の同時投与は更に免疫効果を増強した。 本研究は抗HSP90抗体を用いた抗腫瘍ワクチンを実用化に近づけるために計画されたが、当該年度に基盤的研究を目に見える形で進展させることはできなかった。これは昨年度末に報告した次の事象が強く影響している。6H8は、IgG2aというサブクラスも相まってFcレセプター依存性の結合力が強く、APC表面HSP90に対する抗原特異的な結合力は想定していたよりも弱いということがわかった。 そのため我々はまず6H8のワクチンへの応用に先立ち、抗体及び細胞膜表面HSPについて以下の検討・確認することにした。これは最終的に当初の目的にたどり着くよう考慮した結果である。①6H8のサブクラスが問題となったためIgG1タイプに一部構造を組換えた抗体を作製した。今後、作製した抗体とAPC膜表面HSP90を認識できるIgG1サブクラス抗体である5H12を用いて検討を行う。②先行研究から想定されたAPC膜表面においてHSP90と会合する分子に対する抗体を作製し、APC膜表面に存在するかを検討したのちに、これらの後退についてもワクチンへの応用の可能性を検討する。現在2種類の分子に対する抗体を作製し、有用なクローンを選択しているところである。 これらの検討と並行して、抗原抗体複合体モデルに用いる抗ovalbumin抗体やヒトがん抗原を発現する腫瘍株等の準備も行っており、各種の検討が終了した後、当初計画に立ち戻り研究を行う予定である。
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