2013 Fiscal Year Annual Research Report
肺がん脳転移に対する非ステロイド系抗炎症薬による免疫学的予防法の確立
Project/Area Number |
24700998
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
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Keywords | 肺がん / 転移性脳腫瘍 / 非ステロイド系抗炎症薬 / 免疫抑制性細胞 |
Research Abstract |
がん患者の約 10 % が転移性脳腫瘍を発症するとされ、肺がんを原発とするものが最も多い。以前の研究より、原発性脳腫瘍および転移性脳腫瘍発生においては炎症細胞の一種である骨髄由来抑制細胞 (MDSC) が CCL2/CXCL12 ケモカイン依存性に病変部に集積し、発症のトリガーとなることが示唆されている。そこで本研究では、肺がん転移性脳腫瘍発症における MDSC の影響を、マウスおよびヒト検体を用いて評価した。 マウス動物実験は以下のように行った。まず C57B6 野生型マウスおよび同系肺がん細胞株を用い、移植型転移性脳腫瘍モデルおよび血行型転移モデルを作製した。一部のマウスでは細胞移植前よりアスピリンを経口投与あるいは抗 Gr-1 抗体を行った。生存率および腫瘍生着率、フローサイトメトリーによる腫瘍組織内の免疫細胞浸潤、腫瘍微小環境におけるサイトカイン/ケモカイン等を評価した。その結果、アスピリン継続投与により脳腫瘍生着率の著明な低下および生存率上昇が確認された。また腫瘍形成したマウス脳腫瘍組織内に浸潤する免疫細胞をフローサイトメトリーにて解析したところ、MDSC の著明な集積低下を認めた。さらにアスピリン治療群の腫瘍組織内では、CCL2 および CXCL12 ケモカインの発現低下がみられ、かつ抗 Gr-1 抗体投与による MDSC 除去マウスでは著明な生存率上昇がみられた。 さらに健常人および肺がんの既往がある脳腫瘍症例より末梢血細胞 (PBMC) を採取した。PBMC より CD14+CD15-HLA-DRlow の分画より mRNA を抽出し DNA マイクロアレイを行った。臨床検査項目は、年齢、性別、腫瘍組織系、脳腫瘍サイズ、脳腫瘍組織系 (直達手術症例)、NSAID 服用歴などとした。その結果、肺がん転移性脳腫瘍症例では健常人と比較し、末梢血中の MDSC 増加がみられた。また転移性脳腫瘍症例の MDSC では CD276 (B7-H3) の発現上昇がみられ、かつ NSAID 服用歴との統計学的有意な相関もみられた。
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Research Products
(6 results)