2012 Fiscal Year Research-status Report
局所的超高感度代謝物分析システムを用いた大腸がん組織の網羅的代謝物解析
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24701005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
入野 康宏 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10415565)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタボロミクス / がん / バイオマーカー |
Research Abstract |
生体内には核酸やタンパク質のほかに、糖、有機酸、アミノ酸など多くの低分子が数千種存在する。これらの低分子化合物は、細胞の代謝活動によって作り出される代謝物である。現在では、細胞機能を包括的に理解しようとするために、広く使用されているゲノムの網羅的解析(ゲノミクス)やタンパク質の網羅的解析(プロテオミクス)に加えて、代謝物の網羅的解析(メタボロミクス)が強力な分析手法として利用されている。近年、メタボロミクスを末梢血に応用し、疾患を早期発見しようとする試みがなされており、我々も数多くの研究成果をあげてきており、代謝物の存在パターンを調べることで、疾患を診断することが可能になりつつある。そこで本研究は局所的超高感度代謝物分析システムの開発を行い、直接的に組織切片の代謝物の網羅的解析を実施することを目的とした。 本年度の研究では、局所的超高感度代謝物分析システムの開発するために、測定すべき代謝物の検討を行った。GC-MS(ガスクロマトグラフ-質量分析計)を用いた網羅的に水溶性代謝物を測定する実験系がすでに整っているので、はじめに末梢血などの生体試料に含まれる水溶性代謝物を分析することで、局所的高感度代謝物分析システムで分析すべき代謝物候補を決定することとした。その結果、測定すべきと考えられる水溶性代謝物の候補を決定することができた。今後は、測定するべき代謝物の最適な分析システムの開発を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であった局所的超高感度代謝物分析システムの開発するために、測定すべき代謝物の検討することができた。当初の計画通り、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きAdvion社のLESA とTriVersaTM NanoMateとを融合した局所的分析システムを開発する。抽出溶媒や分析条件の検討を行い、水溶性代謝物を解析できるシステムを開発する。より高感度に検出し定量性の高いデータを得るために、物質ごとに特有にみられる崩壊を利用したSRMトランジションを作成し、代謝物同定を行う。 局所的分析システム(LESA NanoMate-QqQ-MS分析システム)を用いて、大腸がんモデルマウスであるAPC遺伝子変異マウスの組織のがん部位と正常部位での代謝物の網羅的解析を実施する。得られた結果を多変量解析である主成分分析に供し、がん部位に特徴的な代謝物の存在パターンが存在するのかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費申請の段階では、サンプル保管のためにメディカルフリーザーの予算を計上していたが、差し迫った必要性がなかったためその分の研究費を次年度に繰り越すことにした。 次年度の研究費の使用計画は、実験に必要な試薬ならびに消耗品購入に予算を使用する予定である。また、研究成果発表や情報収集のための旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)