2012 Fiscal Year Research-status Report
RNAiスクリーニングを用いた大腸癌化学療法効果予測バイオマーカーの探索
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24701011
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
荒川 泰弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80349547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バイオマーカー |
Research Abstract |
平成24年度、RNAi発現レンチウィルスライブラリー(OpenBiosystem社、Decode RNAi Viral Screening Pools)を大腸癌細胞株DLD-1に導入した。レンチウィルスライブラリーの導入効率を確認するために子宮頸癌細胞株HeLaにもライブラリーを導入した。Camptothecin耐性細胞を選択するための薬剤濃度は、予備実験の結果より大腸癌細胞株DLD-1において1μMとした。レンチウィルスを導入後、各細胞株にcamptothecin 1μM、48時間投与した。さらに、ピューロマイシンでRNAi安定発現株を選択した後、形成されたコロニーを採取した。DLD-1で行ったスクリーニングでは、RNAiによりcamptothecin耐性となったと考えられるコロニーを約20個クローニングした。そのうち、7個のクローンで導入されたレンチウィルスのRNAi配列をシークエンスすることが可能であった。大腸癌化学療法においてcamptothecin誘導体であるirinotecanは中心的薬剤として臨床で広く用いられている。しかし、薬剤耐性に関係し、臨床での化学療法選択に実用的な遺伝子検査は存在しない。今回、ヒト遺伝子を網羅するRNAi発現レンチウィルスライブラリーを用いることによって、発現抑制が大腸癌細胞株にcamptothecin耐性をもたらす遺伝子をスクリーニングした。この研究で得られた候補遺伝子の腫瘍での発現を化学療法開始前に検討することにより、治療効果を事前に予測することが可能となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画は、(1) RNAi発現レンチウィルスライブラリーを大腸癌細胞株DLD-1に導入すること、(2) RNAiライブラリーを導入した細胞集団をcamptothecinに暴露し、薬剤耐性クローンを選択することであった。今回のDLD-1で行ったスクリーニングでは、RNAi発現レンチウィルスの導入によりcamptothecin耐性となったクローンを得て、7個のクローンではレンチウィルスの発現するRNAi配列をシークエンスすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、(1) 残りのcamptothecin耐性クローンに導入されているレンチウィルスのRNAi配列をシークエンスする。クローニング下camptothecin耐性株からゲノムDNAを抽出し、ゲノムに組み込まれたウィルスベクターのRNAi配列を含む部位をPCRで増幅し、ダイレクトシークエンスもしくはクローニングベクターに挿入した後、シークエンスする。(2) 得られたRNAi配列の結果をもとに、発現抑制のターゲットとなっている遺伝子をデータベースから検索する。(3) ターゲットとなっていると予測される遺伝子が実際に薬剤耐性クローンにおいて抑制されているか、耐性株と親株でのターゲット遺伝子の発現をリアルタイムPCRで確認すること。(4) ターゲット遺伝子に対するdsRNAを合成、DLD-1に導入して遺伝子発現を抑制した場合、camptothecin耐性がもたらされるか確認する予定である。具体的には、ターゲット遺伝子に対するdsRNAを導入したDLD-1と、コントロールのdsRNAを導入した細胞でcamptohecin感受性をMTT法などの細胞増殖アッセイを用いて比較する。また、ターゲットの遺伝子を抑制したDLD-1において、camptothecin投与による細胞周期停止やアポトーシスの状態を検討する。さらにoxaliplatinについても、薬剤耐性クローンのスクリーニングを行い、発現抑制が薬剤耐性を引きおこすターゲット遺伝子を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、camptothecin耐性クローンに導入されているレンチウィルスのRNAi配列をシークエンスするための試薬類(DNA抽出用試薬、PCR用試薬、サイクルシークエンス用試薬)、ターゲット遺伝子の発現抑制を検討するためのリアルタイムPCR用試薬、ターゲット遺伝子の発現を抑制するためのdsRNA合成委託費、ターゲット遺伝子を抑制したDLD-1においてcamptothecin耐性が実際にもたらされているか検討するための細胞増殖アッセイ(MTT法)用の試薬の購入に研究費をあてる。
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