2014 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌抗原の解明と、半導体による癌抗原血液検査法の新規開発
Project/Area Number |
24701012
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤岡 宏樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90392381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 癌抗原 / 血液検査法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、甲状腺癌を特異的に認識する抗体(JT95)を用いて、癌抗原の分子構造を解明すると共に、蛍光物質とJT95抗体による「癌抗原血液検査法」の開発を目的としたものである。本法の開発によって、現行の甲状腺癌の血液検査法の問題点を克服し、大規模スクリーニングの精度向上を目指している。 最終年度は、特にJT95抗体が認識している抗原の同定を試みた。これまでの本研究の成果からは、ビオチンを結合させたJT95抗体(ビオチン化JT95抗体)と蛍光物質を組み合わせることで、甲状腺癌組織や甲状腺癌細胞株に含まれる抗原が高感度に検出できることを示している(Fujioka K et al., Bioimages, 2013)。このビオチン化JT95抗体を使った免疫沈降法や、抗体の糖鎖アレイへの反応結果から、新たな抗原が細胞膜等に発現される分子であることが示唆された。今後、精査を進め、この分子が甲状腺癌の血液診断や組織診断に有効であるかについて検討すると共に、この抗原を対象とした高精度な診断法の確立につなげていきたい。 また、本研究では研究期間中にJT95抗体を使った血液検査法の開発研究を実施した。この中で、JT95抗体とビオチン化JT95抗体との組み合わせによるサンドイッチELISA法を実施、一部の甲状腺乳頭癌患者の血漿中の抗原が認識されることを確認した。一方で、対照として実施された乳癌患者の血漿にも反応を示す場合があった。このため、現行のJT95抗体を組み合わせたサンドイッチELISA法単独では、甲状腺癌の早期発見を目的としたスクリーニングに適用することが難しい可能性があり、今後、新たな抗体等の組み合わせや別の検査指標との組み合わせによる精度の向上が必要である。 以上のように、本研究では甲状腺癌抗原の同定、及びビオチン化JT95抗体による検査法の開発研究を実施、新しい検査法につながる知見を得ることができた。
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