2014 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換に伴うアポトーシス制御と抗癌剤耐性機構の解析
Project/Area Number |
24701023
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
峠 正義 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90456385)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / 抗癌剤耐性 / Mcl-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺癌細胞(A549)をTGF-β存在下で培養すると上皮間葉転換を起こす。同時にシスプラチン等の各種抗癌剤に耐性を獲得し、アポトーシス抵抗性を示すことが確認された。そこで、Bcl2 familyの発現を調べたところ、Mcl-1がmRNAレベル、蛋白質レベルで増加していた。Mcl-1の増加はTGF-β添加後24時間でピークに達し、72時間後も維持されていた。次に、Mcl-1が上皮間葉転換に伴う薬剤耐性に関わっているかを調べた。siRNAでMcl-1を抑制するとシスプラチン抵抗性は解除された。一方、HA/Mcl-1過剰発現株にシスプラチンを作用させたところ、抵抗性の増強が確認された。 以上より、本実験系ではMcl-1の増加が上皮間葉転換に伴う抗癌剤耐性獲得に重要な役割を担っていることが判明した。 そこで、各種Bcl2阻害薬を用いて耐性出現の有無を比較した。ABT737やABT263には耐性が出現したが、オバトクラックスに対する耐性獲得は認められなかった。これはBcl2阻害剤がMcl-1をターゲットにしているか否かの違いであると考えられた。さらに、シスプラチンに少量のオバトクラックスを併用すると、上皮間葉転換を起こしたA549細胞に対しても相乗的に作用し、シスプラチンへの抵抗性が解除されることが判明した。これらの結果から、Mcl-1は転移初期における癌細胞の生存と抗癌剤耐性に重要な役割を担っていることが予想され、術後補助化学療法の成績を改善するためのターゲットとなりうると考えられた。 上皮間葉転換に伴うMcl-1の増加がどのように制御されているかは解明に至らず、今後の課題となった。作成したHA/Mcl-1導入株の解析からは転写レベルで制御されていると思われる。最終年度に研究成果をInternational Journal of Oncologyへ報告した。
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