2012 Fiscal Year Research-status Report
dUTPaseとwntシグナルを標的とした肝細胞癌新規治療薬の開発
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24701024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鷹取 元 金沢大学, 大学病院, 助教 (60613734)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | dUTPase / HCC / Synthetic Lethality |
Research Abstract |
本研究の目的は、dUTPaseを直接阻害しかつin vivoで使用可能な薬剤の解明と、WntおよびdUTPaseを活性化した細胞を樹立し、シグナル伝達系を解析することで、正常細胞に影響を与えず癌幹細胞を特異的に標的とする新規治療法の確立を目指すことである。 平成24年度にわれわれはdUTPase発現に影響をおよぼす既知の薬剤の探求をおこない、インターフェロンアルファ製剤が、肝癌培養細胞においてdUTPase発現をmRNAおよびタンパク発現レベルで抑制することを解明した。さらに、5-FUとインターフェロンアルファを投与することによって、5-FU単剤と比較して有意に強い腫瘍抑制効果を示すことを解明した。 一方で、dUTPaseを活性化した細胞の樹立にはいたらず、平成25年度は引き続きTet onシステムを用いたdUTPase過剰発現肝癌培養細胞モデルの確立、dUTPase過剰発現に対しSynthetic Lethalityを呈するシグナル伝達系の同定、同定されたシグナル伝達系に対して阻害活性を有する既知の薬剤を用いたSynthetic Lethality効果の確認を目指す。 また、実際の臨床との関連について、肝細胞癌の外科切除例におけるdUTPase発現と再発・予後について、27例の初発肝細胞癌外科切除症例について、再発と生存について前向き試験をおこなった。 結果、dUTPaseの高発現群16例の無再発生存期間が約400日であるのに対して、低発現群11例では1200日を超えており、肝細胞癌の再発に関する有意な予測因子であることを解明した(p=0.0062)。本試験の結果について、第48回日本肝臓学会総会ワークショップにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
dUTPase発現と、実際の臨床との関連について、肝細胞癌の外科切除例におけるdUTPase発現と再発・予後について、前向き試験をおこない、dUTPaseの高発現が、肝細胞癌の再発に関する有意な予測因子であることを解明した。第48回日本肝臓学会総会ワークショップにて発表し、広く研究成果を公表することができた。平成24年度にわれわれはdUTPase発現に影響をおよぼす既知の薬剤の探求をおこない、インターフェロンアルファ製剤が、肝癌培養細胞においてdUTPase発現をmRNAおよびタンパク発現レベルで抑制することを解明した。 一方でdUTPase過剰発現肝癌培養細胞モデルの確立にいたっておらず、計画よりもやや遅れた状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は引き続きTet onシステムを用いたdUTPase過剰発現肝癌培養細胞モデルの確立、dUTPase過剰発現に対しSynthetic Lethalityを呈するシグナル伝達系の同定を目指す。 また、インターフェロンアルファのdUTPase発現抑制効果について、その機序を細胞モデルおよびマウスモデルで解明し、臨床応用を目指す。またdUTPaseの抑制効果が確認された、漢方由来のβ-HIVSについても、同様に検討する。研究補助員を増加し集中的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していたsiRNAライブラリーによる解析を次年度におこなう予定としたため、それに伴う費用は次年度に繰り越した。その他各種分子生物学的キットが必要となる見込みであり、購入する予定である。 また、本研究の成果を国内・国外の学会で発表するための旅費に使用する予定である。
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