2013 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の新規治療標的としてのGATA-6分解システムの解析
Project/Area Number |
24701032
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
牛島 弘雅 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (90509043)
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Keywords | GATA-6 / PKA / JNK / cancer / cAMP / 転写因子 |
Research Abstract |
転写因子GATA-6は、初期胚の分化・増殖に必須の因子であり、正常細胞ではその発現量は一定のレベルで調節されている。一方、消化器系の多くの癌細胞(大腸癌など)でGATA-6が高発現していることが知られているが、その代謝回転機構は未だ解明されてない点が多い。昨年度の研究成果から、転写因子GATA-6の分解を速やかに誘導するシグナル伝達系を明らかにし、その経路に関わる複数のキナーゼを特定することができた。 本年度は大腸癌細胞を用いて、GATA-6分解誘導による抗腫瘍活性の効果を解析した。GATA-6分解誘導にはJNK活性化剤であるアニソマイシンを使用した。大腸癌の培養細胞にアニソマイシンを作用させると、GATA-6の分解が起きることが確認できた。同時に、細胞増殖が顕著に抑制されることも分かった。より生体に近い培養方法として、3次元培養の系においても同様の実験を行ったところ、アニソマイシンによって細胞増殖は抑制された。この現象はsiRNAを用いてGATA-6遺伝子をノックダウンした場合でも観察された。細胞増殖が抑制された現象について、フローサイトメトリーによりさらに詳細に解析を行った。その結果、アニソマイシンを作用させた細胞では、増殖のサイクル(細胞周期)が分裂期において停止した状態にあることが明らかになった。また、大腸癌の特徴の1つである細胞の浸潤能には影響しないことも分かった。 昨年度および今年度の結果から、GATA-6は細胞周期の進行に関与することで細胞増殖を調節していると考えられる。この働きが、癌のみならず、発現量が一過的に増加する初期胚においても同様であるのかどうか興味が持たれる。
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