2014 Fiscal Year Research-status Report
酸素と二酸化炭素比観測、モデル、逆推定法を用いた東アジアの使用化石燃料分布推定
Project/Area Number |
24710003
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
峰島 知芳 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20550198)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 大気動態 / 酸素 / モニタリング / 大気輸送モデル / ソースレセプター解析 / 二酸化炭素 / FLEXPART |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、風下での大気中O2/CO2変動比の観測値と、大気輸送モデルを用いて、東アジアに於ける使用化石燃料の推定を行うことである。その為に、後方粒子拡散型の大気輸送モデル(FLEXPART)の性能評価、モデルシミュレーションにインプットとして用いられるインベントリに基づいたCO2およびO2の発生量分布の作成、観測値とモデルシミュレーションの結果の比較に基づいた発生量分布の検証を行う。 これまでの成果としては、まず。東アジア地域の使用燃料内訳のデータを収集した。次に、燃焼に伴うO2とCO2の交換比が、燃料の化学組成により異なるため、東アジア地域、得に中国のCO2,O2発生量分布図を省ごとの使用燃料種内訳より作成した。また、全球大気輸送モデル、FLEXPART、結合モデルを用いて、波照間嶋におけるCO2,O2濃度を計算し、O2/CO2比を再現するか検討した。そして、モデルの再現性の悪くなる条件について詳細に解析した。また、鉛直混合スキームの異なるFLEXPARTモデルを用いて、シミュレーションを行い、比較を行った結果、鉛直混合スキームの違いはO2/CO2変動比の計算結果に大きな影響を与えていないことがわかった。また、波照間におけるメタン濃度の観測結果を用いて、逆推定法を試みた。逆推定法とは、モデルシミュレーションと観測値の差が最少になるような発生量分布を推定する方法である。波照間嶋に於けるメタンの観測値とFLEXPARTモデル、オイラー型大気輸送モデルによるシミュレーション結果を比較して、東アジアに於けるメタン発生量分布の逆推定を行った。また、今年度は、FLEXPATモデルが観測結果をよりよく再現できる条件を解明する為、空間分解能の高い気象場を導入した。現在、計算結果について解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度に出産をし、産前産後休暇、育児休暇を合わせて3か月ほど取得したこと、25年度に所属研究室の異動があったこと、また、平成26年度には大学を異動したことにより、計画が当初より遅れている。引っ越し作業、研究環境の変化、サーバーのセットアップに時間がかかったこと、新しい大学に於いての新規業務や、授業の準備等に膨大な時間がかかったこと、また、プログラマーの確保が上手くいかなかったことが主な理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、沖縄県波照間嶋におけるCO2, O2観測データを用いて、汚染イベント飛来時のO2/CO2変動比を比較することにより、FLEXPARTモデルの性能評価を行う。モデルの再現性は、フラックス分布、大気輸送スキーム、気象場に依存する。その為、まず、昨年度に引き続き、高分解能の気象場を用い、気象場がシミュレーション濃度、O2/CO2比の再現性に与える影響を評価する。次に、フラックスについて比較を行う。フラックスは、ドイツ、マックスプランク研究所のGerbig教授と代表者が共著となっているCOFFEEデータセットを用いる。COFFEEデータセットは、昼夜変動、日々変動を取り入れたCO2,O2フラックス分布であり、これらを用いてシミュレーション結果を比較することにより、フラックスの昼夜変動、日変動によりシミュレーション結果に与える影響を評価することができる。三番目に、Gerbig教授、ユタ大学のJ.Lin教授が開発したラグランジュ型粒子拡散モデル(STILT)を用い、FLEXPARTと比較することにより、両モデルの特性を調べる。STILTモデルは、O2やCO2だけでなく、窒素酸化物の濃度シミュレーションにも応用されるようになった。そこで、日本におけるSTILTの窒素酸化物への応用可能性に関しても検討したい。そのために窒素酸化物の計測を行うこととする。次に、これまでに修得した逆推定法を用い、東アジアにおけるO2フラックス分布図、O2/CO2分布図を推定する。逆推定法とは、モデルシミュレーションと観測値の差が最少となるようなフラックス分布を推定する方法である。逆推定法を習得し、方法を確立した後は、その方法を用いて、O2フラックス分布、O2/CO2分布を推定する。推定したO2/CO2文応を用い、最後に、逆推定法で得られたO2フラックス分布、O2/CO2分布の妥当性を評価する。
|
Causes of Carryover |
23年度後半から、24年度前半にかけての数か月、産前産後休暇、育児休暇を取得した為、研究が遅れたこと、気象場を購入予定であったが、類似の気象場が無料でリリースされた為、当座は購入の必要がなくなったことにより、予算の執行が遅くなった。また、24年度の初めに研究室の異動、25年度の初めに大学の異動があった為、当初予定していたプログラマーの確保が困難になり、予算の執行が遅れている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、プログラマーの人件費、また、STILTモデルの検証の為の窒素酸化物計測に予算を使用する予定である。また、ノートパソコンの購入、旅費に予算を使用予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Presentation] Guessing the fossil fuel mix used at emission sources at a downwind location2014
Author(s)
C. Minejima, Y. Tohjima, M. Kubo, H. Mukai, H. Yamagishi,K. Kita, Y. Koyama, S. Maksyutov , R. Nakane, K. Shimada, S. Riya, K. Sato, M. Ohyama, M.Hosomi.
Organizer
Fourteenth Japanese-American Frontiers of Science Symposium
Place of Presentation
Tokyo
Year and Date
2014-12-04 – 2014-12-08
Invited
-
-